(2024.02.15更新)
ノーベルと学ぶ保育
保育スタッフ研修|病児保育のプロとして学ぶ「子どもの病気」
こんにちは、ノーベル広報担当です。
ノーベルでは、年に数回保育スタッフ向けの専門研修を開催しています。
先日は、小児科・アレルギーの専門医でいらっしゃる海老島優子先生をお迎えして、「子どもの病気研修」を開催しました。
海老島先生による子どもの病気研修は、毎年開催される定番の研修です。病児保育のプロとして病気のお子さんをお預かりする保育スタッフにとっては、自身の知識をアップデートできる大事な研修です。前半は海老島先生から、子どもの病気に関わる基本的な知識や最新の病気のトレンドをお伺いし、後半の質疑応答の時間には保育スタッフからの様々な質問や意見に海老島先生が答えてくださいました。
このブログでは、研修の内容の中から特にスタッフたちからの反響が大きかった「けいれん」について、ご紹介します。
熱性けいれんとけいれん重積
子どもの脳は熱に敏感で、発熱時にけいれん発作を起こすことがあります。
生後6か月から5歳までに、38度以上の発熱時に起きるけいれん発作を熱性けいれんと呼びます。
熱が上がる際に起こることが多く、意識がなくなる、白目を向いて身体をそらせるように硬くする、手足をガクガク震わせる、顔色が悪くなる、などの症状が見られます。他にも、体の力が抜けて、ボーッとして意識がなくなるだけの場合もあります。
一度熱性けいれんを起こした子どもが再び熱性けいれんを起こす確率は30%程度と言われています。
けいれんが長時間持続する発作を「けいれん重積」と呼びます。これまでは30分以上をけいれん重積と定義することが多かったのですが、最近は5分または10分と短くする意見もあります。5分以上発作が続く場合は救急車を呼びます。
無熱性けいれんの種類
熱によって発作が起こる熱性けいれんの他に、発熱時以外で起こるけいれんもあります。
てんかん
100人に1~2人が発症すると言われており、けいれんや意識障害などの発作が繰り返し起きます。
泣き入りひきつけ(憤怒性けいれん)
6か月~1歳の子どもに起こるけいれんで、泣き過ぎたことで息が吸えない、または吐けなくなって呼吸が停止し、そのためにけいれんが起こった状態を指します。脱力やけいれんは通常1分程度で回復し、後遺症を残すことはありません。年齢や成長・発達に伴って自然に消失していきます。
泣き入りひきつけを起こしやすい子でも早めに抱き上げたり、あやしたりして気を紛らわすとけいれんにならずに済む場合もあります。
胃腸炎関連けいれん
短時間のけいれん(通常1分程度)が何度もみられ、けいれんとけいれんの間は意識がしっかりと回復します。
けいれんが起きたら
まずはけいれんの観察を行います。意識があるかどうか、目つきや手足の動きが左右対称かどうかを確認します。嘔吐する場合もあるので、のどが詰まらないように顔や体を横に向けるようにします。衣服がきつい場合は、襟元を緩めるようにしましょう。
発作が止まった後も、ぼーっとしている様子や嘔吐するなど、普段と違う様子があれば、受診時に医師に伝えるようにしましょう。
可能であればけいれんやその後の様子を動画撮影し、受診時に医師に確認していただくとよいでしょう。
最近は、てんかん重積状態の発作を止める効果が期待できる「ブコラム」というお薬が学校や保護者でも投与できるようになっています。処方してくれた医師の指示に従い、てんかん重積状態と判断されるときに使用します。一般的には発作が始まって5分経ってもとまらない場合に使用することが多いです。
けいれんについての参考サイト:白クマ先生の子ども診療所(日本医師会サイト内)
保育者にとっても関心が高い「けいれん」
ノーベルでも過去に熱性けいれんを起こしたことがあるお子さんをお預かりすることがあります。そういう日はスタッフたちの緊張感もいつも以上。「熱性けいれん」は、スタッフ同士のコミュニケーションの中でもよく話題になっており、皆で自主的に知識を取り入れたりと、関心が高い内容の一つです。
この日も熱性けいれんの既往歴のあるお子さんへの解熱剤の使用についてや、けいれん症状が見られる場合の救急搬送についてなど、様々な質問が飛び交いました。それまでに学んできた知識に加えて、ケースバイケースで生じる現場での具体的な疑問に対して、医師の観点からしっかりと答えをいただくことができ、保育スタッフたちにとっても収穫の多い研修となりました。
保育スタッフからは、
普段聞き慣れた病気でしたが、より知識を深めることができました。熱性痙攣や胃腸炎についても詳しくお話が聞けてよかったです。
解熱剤などの薬の使用について医者目線からの見解が聞けて良かった。
といったコメントが寄せられました。
「子どもたちに少しでも良くなってほしい」
このほかにも質疑応答の時間には、解熱剤の使用期限や使用頻度についてや、下痢・嘔吐でお預かりしているお子さんの飲食物について、睡眠時のお子さんの呼吸についてなど、様々な質問や意見が出ました。
ノーベルの病児保育でできることはあくまでもお子さんの「ケア」であり、治療や診断ができるわけではありませんが、「病気でしんどい思いをしているお子さんに少しでも良くなってほしい」という思いは保育スタッフの誰もが持っています。病気やケアに関する知識をしっかりと学んでおくことで、親御さんにとっても有益な情報を提供できたり、病気の時の対応について提案できることが増えるかもしれません。1対1で病気のお子さんを見守る保育スタッフだからこそ、お子さんの様子を見ながら様々な気づきを得ることができるのです。
これからもノーベルは、子どもたちに寄り添いながら、安心・安全の病児保育に努めていきます。
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