(2020.12.14更新)
ノーベルと学ぶ保育
保育スタッフ研修|保育リスクマネジメントを学ぶ
こんにちは、ノーベル事務局です。
ノーベルでは保育スタッフ向けて、定期的に専門的な研修を開催しています。
今回は「自宅預りにおける保育リスクマネジメント~家庭内事故を中心に~」を学びました。
講師は、保育の安全研究・教育センターの所真理子先生です。
前回の研修に続き、今回も30名ほどの保育スタッフがオンラインで参加しました。
どのような研修だったのか、保育現場でどう活かせるのか、レポートします!
家庭のなかで起きた「ヒヤッとしたこと」
多かったものトップ3
① ソファー、階段に関するもの
・ソファーでの飛び跳ね、飛び降りからのケガ
・上の子どもが赤ちゃんを抱っこして階段で降りる など
② 料理・調理に関するもの
・熱したフライパンなどに触ろうとする
・お湯をこぼしてヤケドしてしまった など
③ 車、駐車場に関するもの
これは、幼稚園の保護者を対象にしたアンケート(2019年)の結果をまとめたものです。
子育て経験のある方ならば「そういうことあるな」と容易に想像できるのではないでしょうか。
そして、子どもが危険な目にあわないよう、誰もが注意していることだと思います。
にもかかわらず、なぜ子どもは事故にあうのでしょうか?
子どもが事故にあう理由
その理由は、「子どもは日々発達しているから」。
例えば、乳児の場合。
・いつのまにか寝返りができる
→ベビーベッドや布団の周囲に移動が可能になる
・いつのまにかつかまり立ちができる
→高いところにも手が届くようになる
・新しいものに目がいく
→調理器具など危険なものも触ろうとする
このような子どもの著しい発達に周囲の環境が追いつかず、事故が起きると考えられます。
子どもの発達と起こりやすい事故(国民生活2012年10月号)
子どもの事故の概要
1歳~9歳の子どもの死因では、「不慮の事故」が第1位となっています。
例えば、0歳では窒息、1歳~4歳は溺水での死亡が多く、年齢が上がるにつれ、転倒・転落による死亡が火災よりも多くなります。
また、死亡にいたる事故発生場所として、保育園や幼稚園ではなく、圧倒的に「家庭のなか」が多いという統計結果が出ています。
それだけ、家の中は危険ポイントが密集しているといえるのです。
今年は緊急事態宣言により、お子さんとおうちで過ごす時間が多かったことと思います。
実際に消費者庁が行ったアンケート調査でも、外出自粛期間中に「ヒヤリハット」を経験した親御さんが4人に1人にのぼっていました。
特に、階段・リビングでの「落ちる」事故、台所での「ヤケド」「切る・刺さる」事故が目立ち、男児の階段事故は女児の2倍近くも発生していました。
(年齢別では、1歳男児が最も多いという結果でした)
▼事故事例の詳細はこちらからご覧ください(日本小児科学会HP)
実際にあった事故事例
・引き出しをあけてタンスによじ登ろうとして、子どもの上にタンスが倒れる
(動画視聴:倒れるスピードが一瞬で、大人でも恐怖を感じました)
・トイレの便座から落下し、顔に水が入り溺水
(お風呂だけでなく、小さな子どもにとってはトイレも十分に危険です)
・お弁当のピックを誤嚥
(ハンバーグに刺していたピックを飲み込み、手術で摘出/1歳7か月)
・スーパーボールで窒息
(親が目を離した間に直径2センチのボールを飲み込み、切開して摘出/3歳4か月)
・歯ブラシが口に刺さる
(仰向けで仕上げ磨きを待っている間に歯ブラシが喉の奥に刺さり、全身麻酔で摘出/3歳6か月)
ほかにも、暑い時期に活躍するお弁当用抗菌シートを一緒に飲み込む、子ども用スティックパンを喉につまらせる(水分と一緒にとらないとつまりやすい)、子ども用おせんべいが喉にへばりつくなど、「まさか!」という事故事例があることを学びました。
子どもの事故を防ぐために
今回の研修を受けて、家庭のなかや日常生活(食事など)において、子どもにとって危ないものが想像していた以上にたくさんあることを学びました。
保育者・保護者は、子どもたちを危険にさらすことのないよう常に見守っています。しかし、「一瞬たりとも目を離さない」ということは現実的には困難です。
私自身も、子育て中の苦い経験があります。息子がハイハイするようになったころ、いつのまにか隠していたお財布に手をのばし、小銭を出して触って遊んでいたのです。
「ひょっとして飲み込んでいないか?」と不安になり、念の為と病院でレントゲンをとってもらったことを思い出します。
注意していても起きてしまう事故。では、私たちはどのようにすればよいのでしょうか。
なによりも「めったに起きないだろう」「気をつけているから大丈夫」と決して過信せず、事故事例をもとに、危険なものは積極的に取り除き、安全な環境をつくっていくことが大切です。
私たち保育スタッフも、モノや環境を整えるなどできることを行い、また、「これは危ないなあ」と思ったもの・ことは事務局に申し出るなどし、利用者さまがより安心・安全な環境で過ごしていただけるようスタッフ全員で取り組んでまいります。
- 保育スタッフ研修バックナンバーもぜひご参考ください…!
- 保育スタッフ研修|小児救命救急研修を学ぶ
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