社会の課題代表高亜希ノート

#11 自宅に入ることで見えてくる、訪問型保育のソーシャルワークとしての役割

私たちはGoogle.orgインパクトチャレンジに採択されたことをきっかけに、12年の訪問型保育、保育者育成の知見を活かすとともに、保育・医療・福祉・テクノロジー・コミュニティづくり等の各領域の専門家とも新たに協働し、訪問型保育に関する学びを体系的にプログラム化しています。

そのプログラムづくりの中で、欠かせないものの1つ、それは「ソーシャルワーク」です。

「ないならつくる」訪問型保育のソーシャルワーク

ソーシャルワークについてWikipediaなどで調べると、定義や歴史について詳しく書かれていますが、私たちがいうソーシャルワークとは「生活におけるさまざまな困りごとを抱えている人たちの相談を受け、解決のために適切な助言や援助を行なうこと」です。

私たちの保育の特徴は「訪問型」で外からは見えない「自宅の中に入る」ことです。
自宅に入るとそれぞれの家庭の環境があり、その時の親御さんや子どもの状態や状況に合わせながら、100人いたら100とおりの保育をしてきました。

保育が終わると、保育スタッフに対して、子育ての悩みを打ち明けられる親御さんもいれば、自宅に入るからこそ保育者自身が家庭の困りごとに気づくこともあります。

ノーベルのソーシャルワーク
でも、あくまで私たちの役割は子どもをお預かりすること。ソーシャルワークの専門性もなく、一期一会も多い中で中途半端な関わり方で下手なことは言えない。現場の保育スタッフは何もできないもどかしさを持ちながら、モヤモヤした気持ちで帰ることがほとんどでした。

実際に私自身も過去に、1件1件、親御さんの家に訪問し、様々な親御さんと出会ってきました。その際、親御さんに悩みを打ち明けられたり、泣きながらお話をされる方もいらっしゃいました。ただただ、話を聞くことしかできない自分に不甲斐なさを感じたことも多々ありました。

私たちの役割はいったい何なんだろうか。
私にはその問いが、ずっとありました。

私たちの役割は親御さんの子育てと仕事の両立をサポートすること。
そして、家庭の中に入るという訪問保育の特徴がある以上、家庭の生活にまつわる困りごとに対して見て見ぬふりはできません。

親御さん・子ども・保育者にとっても、ハッピーなカタチ、「なければ、つくればいい」ということで、訪問保育におけるソーシャルワークの仕組みをつくることを模索しはじめました。

虹の絵

訪問保育の5大ソーシャルワークケースとは?!

ソーシャルワークといえば、幅広い知識と経験が必要な専門職というイメージ。保育者自身が一人で解決することは至難のわざ。

そこで、私たちは保育者はあくまで、「困りごとを発見すること」を役割としました。
親御さん(母親)の子育てに関する悩みや生活に関する困りごとに寄り添う。
必要であれば行政や支援機関に繋げる役割を担う。
そんな仕組みをつくればいいのではないかという考えにいたりました。

そこで、まず現場で起きていることを詳しく知るために、保育スタッフたちに
「親御さんから実際に相談されたことはありますか?」
「保育スタッフ自身が保育をすることで気づいたこと・感じたことはありますか?」
と、アンケートをとりました。

すると、ここには書ききれないほどの事例がでてきました。

●男の子の子育て、下半身さわったりしていましたか?これって治るんですか?
●コトバの遅れが気になるんですが、今の年齢でこの成長って大丈夫ですか?
●吃音があるのですが、どこに相談したらいいですか?
●ご飯の好き嫌いが激しく、ご飯を食べてくれない
●寝ぐずりがひどく体をそり返して大泣きする(夜寝る時もひどい)
●いつも怒ってしまうんです
●おやつも手作りしたいけど時間がない
●自身の病院行く時間がとれない
●子どもが落ち着くまでは仕事を調整する方がいいのかな
●兄弟児の不登校で悩んでいる
●小学生(兄弟児)の子どもの家庭内暴力がある

子どもの成長や発育のお話から子育てや仕事との両立に関する悩み、またそれ以外にも
家庭での様々な困りごとがあることが改めてわかりました。

そして、各ケースをまとめてみると、5つに分類することができました。

訪問型保育の5大ソーシャルワークケース(仮)

➀ 子どもの成長・発達にの関する相談
➁ 子育ての悩み・相談
③ 病気のケア方法
④ 子育てと仕事の両立
⑤ その他(ご兄弟の不登校・家庭内暴力など)

ノウハウ構築のためのソーシャルワーク1,000本ノック

訪問型保育における5大ソーシャルワークのケースがでてきたところで、この5つのケースを解決していくためのノウハウを構築をしていくことを決めました。

そこで、アドバイザーとして入ってもらったのがNPO法人み・らいず2の理事である野田満由美(臨床発達心理士 / 精神保健福祉士/公認心理士)さんです。

み・らいず2

NPO法人み・らいず2は「だれもが、自分らしく地域で暮らせる社会」を目指し、20年以上、大阪・堺・高槻を拠点に、障がいのある人、発達障がいや不登校の子ども、ニート・引きこもりの若者などの支援に取り組んでいます。

み・らいず2の代表にはノーベルの経営について相談をしたり、保育スタッフ向けに研修してもらったり、長年お世話になっている団体です。

今回は、現場からでてきた1つ1つの事例をもとに、スタッフの兼城が困り事の要因(と考えられるもの)と解決策を考えてきたことを野田さんに共有し、それに対してアドバイスをもらう機会をもちました。

名付けてソーシャルワーク1,000本ノック!

この往復を何度も繰り返すことで、解決するための必要な要素は何か、現場でできることはどこまでなのか、連携先はどういうところがあればいいのか、など共通項が見えてきました。

ソーシャルワーク1000本ノック

現在も1,000本ノックは継続中ですが、ある程度ケースの解決のためのノウハウができれば、現場に還元して、どこまで活かすことができるのか、また活かすための研修はどうあるべきかがみえてくると考えています。

親御さんが孤育てにならない繋がりがもてるように
そして、子どもが安心安全に過ごすことができるように
保育者自身も現場の困り事を一人で抱え込まないように

私たちは保育現場で起きていることに向き合い、解決できるように取り組んでいきます。

来年には完成する予定ですので、楽しみにしていてください!!

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