(2022.08.07更新)
ノーベルの保育品質
いざというときに役立つホームケア|ウェルカムキットの中身を大公開!
先日、ノーベルのウェルカムキットの開発について発表いたしました。
今回はそのウェルカムキットの中身を大解剖し、ご家庭でも普段からできるホームケアの方法をご紹介できればと思います。
ウェルカムキットとは・・・?
ウェルカムキットとは、ノーベルの病児保育をご利用の皆様に、ノーベルを利用するときはもちろん、ご家庭で安心してお子さんの看病ができるように、いざというときに必要な道具やマニュアルなどが揃った、病児保育のためのセットです。
現在、新しく入会した皆様に、無料配布を実施しています。
では、順番にその中身をじっくり見ていきたいと思います!
「ノーベルの嘔吐処理ケアセット」
嘔吐処理に必要なセットは、下記のものが含まれています。
・使い捨てマスク
・使い捨て手袋
・ペーパータオル
・塩素系漂白剤
・空のペットボトル500ml
・折りたたみ洗面器
・ゴミ袋
嘔吐処理の手順
部屋の換気・マスク・手袋の着用
お子さんが嘔吐したら、思わず慌ててしまいますよね。でも、ここは一呼吸おいて、部屋の換気を行い、「マスク」・「使い捨て手袋」を着用します。ここでポイントは手にフィットしやすい手袋を2枚重ねで着用すること。最初の嘔吐処理で1枚、消毒の時に1枚使えば、一度も素手にならずに安全かつスムーズに処理ができます。大きめのポリエチレン素材の手袋は処理の時に脱げてしまうこともあるのでご注意ください。
☆ワンポイント☆「使い捨て手袋」はどんなものがいいの?
「使い捨て手袋」ですが、薄くペラペラしたポリエチレン製のものや手首までしっかり覆われてないものではなく、手首の上まで覆われた塩化ビニル樹脂製やニトリルゴム製の手袋を推奨します。もし、ポリエチレン製しかない場合には、手首に輪ゴムをするなどして脱げるのを防止し、嘔吐物が直接手に触れないよう工夫します。
2. ペーパータオルで拭き取る
次に使うのが「ペーパータオル」。これで嘔吐物を中央に集めながら、乾燥する前に素早く拭き取ります。一枚目の手袋も拭き取ったペーパータオルと一緒に捨ててしまいましょう。
ペーパータオルでも新聞紙でも家にあるもので構いませんが、ノーベルのキットにはペーパータオルが入っています。
☆ワンポイント☆ペーパータオルはティッシュペーパーじゃだめなの?
ティッシュペーパーでは一枚一枚が小さく薄いので、大量に使うことになり、そのぶん時間もかかってしまいます。新聞紙などの大きな紙やペーパータオルなど少し厚手の紙を使うことを推奨します。
ペーパータオルをかぶせる
拭き取った部分にペーパータオルをかぶせます。実際に嘔吐した範囲よりも広めに広げておきます。
消毒液を作り、上からかけて10分ほど浸す
ここで「うすめた塩素系漂白剤」を作ります。漂白剤は、”塩素系”を。ハイター・ブリーチなど薄めて使う「液体タイプ」を使用してください。「キッチン泡ハイター」などのスプレータイプはウイルスが舞う可能性があるといわれており、「ワイドハイター」などの衣料用漂白剤は”酸素系”漂白剤のため胃腸炎系ウイルスの消毒には適しません。必ず「塩素系漂白剤」をうすめて使用しましょう。
【消毒液の作り方】
空の500mlペットボトルに塩素系漂白剤 2ml(ペットボトルのキャップ1/2杯分)と水 500mlを入れて作ります。キットには「空のペットボトル」も入っていますので、こちらをお使いください。
誤飲防止、使い残し防止のため、あらかじめシールを貼り付けています。絶対に飲まないように、また、最後まで使い切り、残りはすぐに捨てるように注意してください。
嘔吐した場所に敷いたペーパータオルに消毒液を上からかけて、10分ほど浸してください。霧吹きはウイルスが舞う可能性があるため、ペットボトルのままダボダボとかけてください。
☆ワンポイント☆なぜ「うすめた塩素系漂白剤」なの?☆
ノロウイルスやロタウイルスといった感染性胃腸炎のウイルスは、石鹸や消毒用アルコールでは消毒できないため、塩素系漂白剤(ハイター・ブリーチといった名称のもの)が必要になります。正確には「次亜塩素酸ナトリウム」がノロウイルスには有効だと言われています。市販で手に入りやすいものでは、ハイター・ブリーチなどという名称で売られているキッチン用の消毒・漂白剤です。
また、薄めて使わないと、ガスが発生する恐れもあるため、薄めた塩素系漂白剤が必要になります。ノーベルで用意しているのは市販の「ブリーチ」です。
実際に、嘔吐したからといって、ノロだと断定できるわけではありませんが、可能性を考慮して塩素系漂白剤での消毒を推奨します。
(参考:ノロウイルスの流行!~嘔吐物への対応及び注意点 公益社団法人日本薬学会)
ペーパータオルを取り除き、消毒した部分を水ぶきする
10分経ったら、ペーパータオルをまたゴミ袋に入れて、消毒した箇所をぞうきんなどで水ぶきをします。漂白剤を拭き取るので、色付きのタオルで拭き取る場合は、色落ちすることがあります。
全てゴミ袋に入れてしっかり封印!
拭き取ったものは、ビニール袋に入れて、そのまま捨てましょう。使い捨て手袋も含めて、すべてゴミ袋に入れて、しっかり縛って封印します。ゴミ出しの日がすぐでなければ、ベランダなど屋外に置いておきましょう。
第二弾の嘔吐が来るかも!洗面器を待機させる
お子様の衣服にも吐物がついている場合にはお着替えし、衣服はビニール袋に入れ密封し、後で洗濯・消毒します。また、お子様を寝かせるときは横向きに。嘔吐物での窒息を防ぎましょう。
すぐに2回目の嘔吐がくる可能性もありますので、洗面器にビニール袋をかぶせ、準備しておきましょう。キットには場所をとらない「折りたたみ洗面器」が入っています。いざという時にお風呂場から洗面器を持ってこなくても、その場でさっと広げて使えるのは便利です。
そして、処理後はしっかりと手洗いをします。
もし服などについたときは、まず洗剤を入れた水でもみ洗いし、85℃以上の熱湯に1分以上ひたしてから、洗濯しましょう。色落ちしても問題のないものであれば、上記の工程で作った塩素系漂白剤の薄め液に10分ほど浸けてから洗濯してください。
洗濯しにくいものについては、消毒したあとに、よく乾燥させてスチームアイロンや布団乾燥機などで高温殺菌するのがよいです。85℃以上で1分以上を目安にしてください。
上記の、一連の手順は、キットに同梱されているホームケアガイドにもイラスト付きで掲載しています。1枚に分かりやすくまとめていますので、ウェブを検索しなくても、こちらのガイドをキットのバッグに一緒に入れておいたり、お部屋の見やすい場所に貼っておけば安心です。
【そのほかキットに入っている便利グッズ】
高熱の際の保冷剤(クールチャージ ペットボトル用)
高熱の場合、手足が熱い状態であればクーリングが有効です。あまり冷たくなりすぎない刺激の少ない、柔らかい保冷剤をノーベルのキットでは採用しています。こちらを、太い血管が通っている首や脇の下、足の付け根(鼠径部)に当てて冷やします。
高熱でも、まだ悪寒がつづいていたり、手足が冷たい場合は、お布団や衣類を着せて体を温めてください。熱が上がりきってから、クーリングを行ってください。こちらの保冷剤は、普段は冷凍庫に入れておいてください。
【保冷剤はよくケーキ屋さんなどでもらうものでもいいの?】
保冷剤は、よくある食品用のものでも構いません。ただ、表面が冷たく、固い場合もあります。その場合は、保冷剤カバーとして子ども用の靴下などがピッタリ収まるのでオススメです。
以上、キットの中身の全貌でした!こちらのセットが、自立するバッグの中にひとまとめに入っています。リビング収納、寝室などさっと取り出せるところに置いておけば、いざというときに安心です。あちこち慌てて探すこともなく、必要なものが揃っているので、お守りがわりに一家に1セット、ぜひ備えてみてください!
参考文献
『ママ&パパにつたえたい 子どもの病気ホームケアガイド』
2020年9月1日 第5版 日本外来小児科学会編集 医歯薬出版株式会社
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