代表長谷亜希ノート

#3 一時保育室「ノーベルさんのおうち」のOPENから、泣く泣くの撤退。

代表の高亜希です。
前回の記事で、「訪問型病児保育のノーベル」から「総合的に両立をサポートするノーベル」にシフトチェンジすることをお伝えしました。

私たちはその第一歩として、2020年1月6日、一時保育室「ノーベルさんのおうち」をオープンしました。

一時保育室「ノーベルさんのおうち」

「ノーベルさんのおうち」とは訪問型でもなく、保育園でもない、一時的にお子さんをお預かりする保育室です。

一時保育室「ノーベルさんのおうち」

納得して預かる、納得して働く、心身ともに余白を持つを実現するために
・保育園に入れない
・週に1回だけ仕事がしたい
・勉強がしたい、資格がとりたい
・保育園がお休みの時(夏休み、春休み、家庭協力日など)に預けたい
・買い物に行きたい、自分の休息のために

日常のちょっと困った時に安心して頼ることができる場所が自分の住んでいる街にある。
「おうち」と名付けたのも、子どもにとって第二のおうちになってほしい、とそんな想いを込めました。

ところが、施設オープン間もなく新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けました

それでも、大阪市一時預かり事業施設としての認定を受け、行政サービスとして安価に利用できるようになったこと、また行政サービスでは不十分だった夕方以降の預かりや送迎サポートなどの独自サービスを組み合わせることで、ハイブリッド型の一時預かりサービスとして運営することができ、家庭のニーズに寄り添った柔軟なサポートができるよう取り組みました。

 

実際に想定以上にニーズがあり、毎月、定員の3倍以上のご利用希望をいただき、キャンセル待ちになるほどで、利用後も多くの「助かりました」のお声をいただきました。相談支援もスタートし、希望者には両立や生活の困りごとを一緒に解決するなどの伴走もしました。

ご利用者さまの声

「数時間でしたが仕事に行けて、とても助かりました☆ 園も休みで自宅ばかりなので、ストレス発散になったと思います」
「いつも家では提供できないクリエイティブを刺激しそうな手作りおもちゃで遊べたり、余裕がない時のママでは対応できない遊びを体験できるところがうれしいです」
「はじめて預ける時は、子どもの様子を途中経過で教えて貰えるのが、こちらもソワソワしなくて様子が知れるので嬉しいです。1日の様子も用紙で頂けるので家族で共有出来るのでありがたいです」
「当日予約ができたことがとても良かった!本当は今日は自宅保育するつもりでしたが、思ったより悪阻が酷くて、当日予約できて良かったです」
「保育が終わって、帰りの自転車に乗せた瞬間 「せんせーにもっかいあう!あいにいこ!」と言われて、とても楽しく過ごせたんだろうなと感じました!」
「今まで、全く誰にも預けられずにきたので、とても不安だったのですが、お迎えに行って、1度も泣かなかったとお聞きして、驚きです。 プロにお任せして、本当に良かったです」

厳しい環境変化と多様な保育の難しさ

一方で、保育室の周辺環境の変化によって保育室の採光や換気、避難経路が悪化し、現施設での営業をずっとつづけることが困難であることがわかりました。

一時保育室では、多様な親御さんのニーズに対応していたため、毎日違う子どもたちが訪れ、年齢も預る時間も異なる様々な組み合わせの保育に対応する必要がありました。
また、対応する保育スタッフもまた、1対1の訪問保育とは違う、異年齢集団の保育への戸惑いや毎回異なるチームでの保育に難しさを感じていました。
一時保育室は自治体の補助金を受け安価で提供していましたが、コロナ禍による利用人数の制限などもあり賃料などの固定費のほうが大幅に上回ってしまうなどの課題もありました。

もともと、一時保育室は、一つの拠点だけで成り立つ事業モデルではないと考えていました。当初、「ちょっと頼れる街の保育室」があちこちにあればと思い、1拠点目のノウハウを構築して、2拠点目、3拠点目と広げ、複数の施設展開で成り立つモデルを想定していました。

しかし、運営の難しさからすぐに複数展開は難しいこと、コロナ禍で大打撃を受けていた訪問病児保育の立て直しも重なったことで、このまま継続することのリスクを感じ、泣く泣く撤退をすることを決断しました。

2030宣言にの実現に向けて支援くださった皆さま、登録してくださった多くのご家庭に対して説明をさせていただいた後、一時保育室「ノーベルさんのおうち」を2021年10月31日(日)をもって営業を終了させていただきました。

OPENしてから1年9か月1年半、479人の子どもたちが登録し、のべ993件のお預かりを行ってきました。一時保育室で多くの親御さんとお話しすることもできました。

2歳までの小規模保育園から幼稚園入園を選択したものの、仕事との調整が難しい…とこぼす親御さん。
週数回、パートナーの仕事の手伝いで預けたいけど、発達面の遅れで他の施設から預かりが難しいとやんわり言われたという親御さん。
働いてみたいけど、専業主婦の今でも余裕がなく、両立は想像できないという親御さん。
引越してきたものの、ダブルワークで忙しく、保育園探しもままならないという親御さん。

様々な両立があること、様々な家庭環境があること、子育て世帯の働き方も多様であることなど、これまで訪問型病児保育で出会ってきた親御さんとはまた違う声を聞くことができました。その声に応えたい気持ちは変わりませんし、もちろん、このまま終わるわけにはいかないと思っています。

これまでの学びを活かし、必要とされている保育施設を親子に寄り添う温かい場所として、再開できるよう、チーム一丸となって準備していきます。

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