(2023.02.14更新)
代表長谷亜希ノート
#12 コミュニティづくりをする上で大切なこと。〜Community Nurse Company の視察から@島根県雲南市〜
私たちは担い手がイキイキとする土台づくりを実現するために担い手同士が学び合い、つながることができるコミュニティづくりが大切だと、昨年から日本・世界のコミュニティづくりの事例を学んできました。
その内の1つ、オランダの非営利組織であるビュートゾルフに、ノーベルの目指す訪問保育の担い手コミュニティの実現の可能性を感じ、より深く学んだことをお伝えしました。
#10 ティール組織・ビュートゾルフのあり方から学ぶ組織の仕組み
そしてビュートゾルフ以外に、より深く学ぶ事例として選択したのが「コミュニティナース」です。
今回はコミュニティナースについて、深く学び、どう活かすことができたのかお話します。
コミュニティナースとの出会い
私が初めてコミュニティナースという存在を知ったのは、2017年。
東京でコレクティブインパクトがテーマのイベントに登壇した際、同じ登壇者だったのがコミュニティナースカンパニー代表の矢田さんだったことがきっかけでした。当時は、事例のひとつとして聞いていました。
それから、5年。
NPO法人home’s viの代表である嘉村賢州さんに、コミュニティづくりを学ぶ上で、コミュニティナースの事例は知っておいたほうがいいと、おすすめされ、本を読み始めました。
彼女の著書を読み、ビュートゾルフとつながるものがあると思ったのが最初の感想でした。
サービスが先にあってそれに合わせたものを提供するのではなく、ひとりの人や家庭全体の困りごとに向き合い、何をするかを決めること。
また、ビュートゾルフは自律分散型組織を機能させるために研修や仕組みを徹底してつくっている印象でしたが、コミュニティナースは講座をある程度受けてもらったあとは、それぞれが地域に戻り、実現したいことに挑戦するというイメージを持ちました。
・なぜコミュニティナースが少しずつ増えているのか
・その地域の高齢者の困りごとをどう解決しているのか
・私達としてはコミュニティナースという存在がどんな役割を担っているのか
・どんなコミュニティをどう育んでいるのか
そんな疑問が湧いてきて、もっと深く知りたいと思うようになりました。
コミュニティナースとは
ここで、コミュニティナースの説明を簡単にしたいと思います。
コミュニティナースとは 職業や資格ではなく実践のあり方であり、「コミュニティナーシング」という看護の実践からヒントを得たコンセプトです。
地域の人の暮らしの身近な存在として『毎日の嬉しいや楽しい』を一緒につくり、『心と身体の健康と安心』を実現します。コミュニティナースは、その人ならではの専門性を活かしながら、地域の人や異なる専門性を持った人とともに中長期な視点で自由で多様なケアを実践します。
実践の中身や方法は、それぞれの形があり、100人100通りの多様な形で社会にひろがり始めています。
※Community Nurse Company 株式会社ホームページから抜粋
ナースというと、看護師のイメージではありますが、特に看護師に限定をしているわけではありません。あくまで、地域の人の暮らしの身近に存在する人であるということ。
事業の柱は3つあり
①人材育成事業…コミュニティナースがここで生まれます
②モデル拠点サポート事業…自治体や企業連携し、モデルづくりのサポートをします
③実践モデル開発事業…コミュニティナースになった人がどう実践するかのモデルづくりをします
その中でも私達が注目したのは、①の人材育成事業。
・ベーシック講座…コミュニティナースの理解を深めたい方向け(オンライン)
・実践講座…地域で仲間をつくりながら活動したい方向け(グループワーク実践)
・ステップアップ講座…実践を事業化する(ゼミ方式で事業のブラッシュアップ)
講座を実施しているが、どんな人が集まってくるんだろうか、どんな学びを提供しているのだろうか、コミュニティづくりの上で工夫をしていることは何か。コミュニティナースになった人はどんな活動をしているのか。
現場に行って具体的なイメージをもちたいと思いました。
島根県雲南市まで視察に行ってみよう!
2022年6月末、私たちは実際に島根県雲南市に向かいました。
空港からクルマで約20分ほどという、とてもアクセスの良いところにあるCommunity Nurse Company。とてものどかな場所に古民家があり、そこが事務所となっています。
とても暖かく歓迎していただき、ランチを食べつつ、まずは代表の矢田さん、スタッフの房山さん、小寺さんから活動の概要をお話してもらいました。
実際に話を聞くと、コミュニティナースの育成にとどまらず、実践モデルの開発に幅広く挑戦していることが改めてわかりました。
コミュニティを作る上でヒエラルキーを作らないこと、専門性高いコミュニティナースもボランティアであるコミュニティナースもみな志は同じ、どちらも必要という考え方は大切であるということ。また、現場の人が必要とされる場面、登場機会を作ること。体験をすることがとても重要であるということがわかりました。
そして、ノウハウ知識は共有するけれど、個人の関心事や、関心のある地域でやりたいことを実現するためのマイプランを持ってもらい、コミュニティナースが自ら考えることを大切にしているとのことでした。
また、実践モデル開発事業として実施している、
・街の人の強みや得意を活かしあい、まちの人の元気のためにできることを相談・考案する「地域おせっかい会議」
・離れた家族や地域の人との繋がりを生み出す訪問型応援サービス「ナスくる」
・自然と地域文化、子どもの主体性と強みを伸ばす独自の子育てコミュニティ「地域まるごと子育て縁」
の事例を具体的に聞くことができました。
実際に「地域まるごと子育て縁」を見に行くこともできました。
「常に研究している」という言葉が印象的で、自然とトライ&エラー、その後にリフレクションをする流れが組織にも個人個人にもできていて、よく学んで実践をしての繰り返しの積み重ねの中で今のCommunity Nurse Company株式会社があるんだなと思いました。
感じたこと学んだこと
視察に同行したノーベルメンバーと一緒に、視察で感じたことを共有する時間を持ちました。
●私たちノーベルが築いてきたものは何かをみんなで共通認識をもちたいし、そして築き上げてきたことがすごく誇らしいということ、そして価値があること、その価値を大切にしたい。その中でよいものを取り入れたい。そう思った。その価値を活かすからこそ、その選択が私たちが実現したい未来への近道になるんだと思う。
●私たちのやりたいことは、単純に子どもを預かるベビーシッターじゃない、訪問型保育やベビーシッターという言葉から離れたい、離れなければいけないなと思った
●ビジョン実現に向けて、担い手を分けてはいけない。プロもボランティアもどう共存できるかが大事
●担い手の裾野を広げるとなったときに、何から始めるのかは改めて問いたい。事例はあくまで事例である。ノーベルの今をみつつ、未来を見て判断したい。
●コンセプトをつくること、コトバはとても大切だなと思った。例えば、「まちを元気にする」というのは、とてもわかりやすい。世の中に伝わりやすい言葉にすることはとても重要だなと思った。
●保育スタッフたちのマイプランを聞きたいと思った。サービスを提供するために必要な人材を採用・育成することは大切だが、保育スタッフさんたちが実現したいことがノーベルでできているのか、聞きたいと思った。保護者も担い手もそれぞれが自身の理想を実現できる組織を目指したい。
●これは社会課題なんだ!!!というよりも、楽しい!こうあればいいよね!という発信、伝え方をしていきたいと思った。訴えでなくても、認知され、広がり、注目されているのはなぜか。その違いを考え、ノーベルに活かしていきたい。
●すでにノーベルが組織として出来上がっていることもあり、互助的なものを生み出す難しさをすごく感じたが、そこに挑戦したい。
とても学びの多い視察でした。
コミュニティづくりは組織づくりとつながっている。
組織としてのあり方が大切なんだと改めて。
インプットで終わるだけでなく、活かすことを忘れず進みたいと思います。
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