代表高亜希ノート

#16 定量調査からみえてきた両立家庭を妨げる3つの不具合とは?!

前回の『#15 日本の子育て世帯は概ね子育てと仕事の両立に満足している?!』の記事では、新しい事業をつくるための定量調査をする前に、世の中の様々な既存調査を調べ、想定していたよりも子育てと仕事の両立に対する満足度が高かったことをお伝えしました。

既存の調査では私たちが日々現場で接している親御さんのイメージとの乖離があったこともあり、しっかりと自分たちの調査で明確にしたいと思いました。

定量調査の概要について

まず、私たちが行った定量調査の概要です。

ノーベル会員アンケート

調査目的 :
両立に対するハードルを明らかにし、それを取り除くためにできるアプローチを考えるための一助とするため、仕事と家事子育ての両立の困りごとを明らかにする。また、両立に対する満足度が低い人の特徴を把握することを目的とする。
調査対象 :ノーベルの利用会員
調査地域 :ノーベル提供エリア内
        (主に大阪市、大阪市に隣接する市16自治体)
調査方法 :インターネットリサーチ
有効回答数 :278サンプル
調査時期 :【本調査】  同9月9日(金)~9月12日(月)テキスト

マクロミルアンケート調査

調査目的 :
両立に対するハードルを明らかにし、それを取り除くためにできるアプローチを考えるための一助とするため、仕事と家事子育ての両立の困りごとを明らかにする。また、両立に対する満足度が低い人の特徴を把握することを目的とする。
調査対象 :マクロミルモニタ  20~59才の女性
調査地域 : 全国
調査方法 : インターネットリサーチ
有効回答数 : 【事前調査】10,000サンプル / 【本調査】1,032サンプル
調査時期 : 【事前調査】2022年9月6日(火)~9月8日(木)
           【本調査】  同9月9日(金)~9月12日(月)

上記の通り、ノーベルの会員さんとそれ以外の両立家庭も調査対象としました。

実際に実施した調査の内容は以下のとおりで、質問項目は全部で35個でした。

1. 仕事と家事子育ての実態
 1-1 家族構成の実態
 1-2 家庭の経済状況の実態
 1-3 働き方の実態
 1-4 自分時間の実態
2. 仕事と家事子育ての両立
 2-1 両立の意識と分担
 2-2 両立の困りごと
3. 支援サービスの利用状況

定量調査の結果について

2つのアンケートの比較、様々なクロス集計など膨大な量の結果を分析しましたが、ここでは要約したものを掲載します。

今回の調査の中では、「両立満足度」を主観的に答えてもらう項目を用意しました。
その結果がこちら。

両立満足度

・一般の調査で満足していると回答した割合:38%
・ノーベル会員の調査で満足していると回答した割合:34%

両立満足度のグラフ

さらにクロス集計などでみると、働く時間によってこの両立満足度が変わることが明らかになりました。 働く時間の少ないパート・アルバイトのほうが満足度が高く、特に週に16~24時間未満の勤務者の満足度が高かったのです。

両立の困りごとでの回答が多かったのは「心身の余裕がない」で、
その具体的内容は
・「家事の時間を十分確保できない」
・「子どもと接する時間が十分確保できない」
・「働き方の柔軟性が低く負担がある」

といったものでした。

また、その他にも
・上司・同僚から子育ての理解が得られない
・働き方の柔軟性が低く、負担がある
・時間的な制約で成果を出しにくい

など職場が大きく影響していることもわかりました。

働く母親のほとんどは自分時間がとれておらず、その中でも満足度が低い人ほど自分時間が少ないのが顕著でした。

特に気になったことが、子育ての分担ではなく家事の分担において、母親自身が8〜9割以上を担っている割合が、ノーベル会員では43%、一般調査では67%という数字でした。

家事分担状況

また「家事分担の現在の状況と希望との乖離はありますか?」という問いに対する回答は、約半数が希望との乖離を感じていました。

夫婦の家事分担割合のグラフ

個人的には「いやぁ、共働きで働いているのに、ほとんど家事を担うってどうなの」というのが本音です。特に、時短で働いている正社員の方は、1時間だけの時短でこんなに家事を担っているのであれば、余裕がないのは当たり前だなぁと。

では、家事のほとんどを担っている層は外部サービス(例:訪問型の病児保育サービスや、ベビーシッター、掃除や食事のサポートサービス)を使っているのかというところですが、サポートを頻繁に受けている人ほど両立満足度は高くなる傾向がでていました。

調査結果から読み取れること・インサイト

この調査結果をもって、メンバーで集まり、気づいたこと、読み取れることなどを付箋に書き出し、カテゴリ化していく時間をもちました。

調査からわかること

「経済的な余裕の定義についての考察が必要なんじゃないか」
「心身の余裕に関する因数分解の必要性は?」
「訪問型サービスの利用抵抗に関する背景調査が必要だよね」
「経済的背景や実態に関する質問をするかどうかの検討しなきゃいけない」

などなど、定性インタビューで何を深掘りしていくか議論を重ねました。

複数回の議論を経て、定量調査の分析から、仕事と育児の両立を妨げる3つの不具合を見つけました。

①一般層とノーベル会員では、ノーベル会員の方が「両立不満」が高かった!
②両立の不満要因、満足層と不満足層で違いが大きかったのは「時間の余裕」
③外部リソースの利用が両立満足に繋がることは明確だったが、一方で、家事代行の利用が一般化しないのは何故?

両立を妨げる3つの不具合

この中で、私達が注目したところは③です。

どうすれば、第三者に頼れるのか。社会全体で子育てできるためにココを紐といていく必要性を感じました。

さて、この定量調査のインサイトを紐といていくために定性インタビューに進むのですが、定性インタビューの結果やインサイトを出すと先にネタバレの可能性もあるので、ブログで調査のことをお伝えするのはここまでとしたいと思います。

こんな大掛かりな調査はノーベル始まって以来でしたが、外部の専門家の方にもサポートいただき終えることができました。この調査のおかげで新しい事業の種を見出すことができ、まさに今、実践に向けて準備中です。

みなさん、楽しみにしていてください!!

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