ノーベルと学ぶ保育

「イツモ」の備えが命を守る。会員さん&スタッフ向け防災講座開催レポート

皆さん、こんにちは。ノーベル事務局です。
今回は、先日ノーベルで実施した防災研修について、前回の記事に引き続き当日の様子をご紹介していきます。
講師を務めてくださったのは、以前にもノーベルで防災研修をしてくださったNPO法人プラス・アーツさん。
阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害を経験した方へ聞き取りを行い、現場で実際に役に立つ様々なアイディアを集めたプラス・アーツさんの防災研修は、すぐに行動に移したくなるとても実用的な内容です。
今回は、研修で得られる知見をご家庭の防災対策にもぜひ生かしていただきたいという思いから、利用会員様にも参加を呼びかけての開催になりました。

この記事では、今回は都合がつかず参加できなかったという方や、防災対策ってまずは何からしたら良いのだろうと悩んでいる方に向けて、講座で教えていただいた内容の一部をご紹介したいと思います。

避難所よりも「在宅避難」。自宅で安全に過ごすには?

在宅避難

以前の記事でもお伝えしている通り、近年は災害時の避難の方法として、避難所に避難するよりも親戚・知人宅や車中泊など様々な場所に分散して避難する「分散避難」がより主流になってきています。中でもしっかり想定しておきたいのが自宅で避難生活をする「在宅避難」
住み慣れた自宅で過ごせるのであれば、不特定多数の人と共同で生活する避難所よりも、安心して過ごすことができます。在宅避難をするためには、自宅がある地域の安全性をハザードマップで調べたり、建物の耐震性が十分なのかを確認する必要があります。それ以外に、家の中の対策も重要。今回は、各家庭でどのような備えが必要になるのか、3つのポイントに分けてご紹介したいと思います。

必ず実践!家具転倒防止対策

阪神・淡路大震災の際、けがの原因の約50%を占めていた家具の転倒や落下。
しっかり対策しなくてはと思いつつも器具の取り付け方がよくわからない、お金がかかるし面倒くさい、賃貸物件だと壁に穴を空けたくない…などいろいろな障壁がありますよね。

転倒防止器具

転倒防止のための器具としてはL字型金具、ベルト式金具、ポール式器具、ストッパー式器具、マット式器具などいろいろありますが、プラス・アーツさんのおすすめは、家具の上をポール式器具で固定し、家具の下をストッパー式器具もしくはマット式器具で固定する組み合わせ技。個々の器具だけだと強度が十分ではないそうですが、組み合わせることでL型金具と同じくらいの強度を見込めるだけでなく、この方法なら、壁に穴を空けなくても設置できるというメリットがあります。
さらに、身近なものを活用する方法として、家具の下には玄関マット等の下に敷く滑り止めシートを敷き、家具の上には滑り止めシートを敷いてその上に段ボールを置く(天井との隙間を2cm以下にする)という方法もあるそうです。
これなら安価で面倒な取り付けもなく、簡単に対策ができますね。

文章だけではイメージがわきにくいと思いますが、プラス・アーツさんが作成した防災マニュアル「防災イツモマニュアル」にイラスト付きで紹介されています。ホームページから無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください!

ライフラインがストップ。それでも待ってくれないトイレの問題

災害時には、水道、電気、ガスなどあらゆるライフラインが止まってしまいます。復旧までにかかる日数は状況により異なりますが、飲み水や食料については、7日分の備蓄が推奨されています。防災グッズの備蓄についてもいろいろなお話があったのですが、ここではとても大事だけれど対策があまり進んでいない「トイレ」についてのお話を紹介したいと思います。

「イツモ」の備えが命を守る。会員さん&スタッフ向け防災講座開催レポート

水道が止まって困るのは、飲み水だけではありません。日本トイレ研究所による調査では、発災から6時間以内に7割の人がトイレに行きたくなったということが分かっています。非常事態であっても待ってくれないのがトイレの問題…。断水したら自宅のトイレは使えませんし、マンションの場合であれば大震災の発災後はトイレの水使用ができなくなります。どうすれば良いのでしょうか?
まず、自宅のトイレ空間が安全で便器が使える状況なら、便器に袋をかぶせて使う、携帯トイレを使用しましょう。その際、携帯トイレをかぶせる前にまずはポリ袋を便器にかぶせ、その上に携帯トイレを設置することで、携帯トイレの底面に汚水がつくことを防ぎ、取り外しの際に家の床を汚さずに済みます。

人が1日にトイレに行く回数は3~6回。家族が7日間使えるだけの備蓄をしようと思うとそれなりの量が必要です。さらに、携帯トイレが足りなくなったという場合や、便器が壊れているなどで使えないときにはゴミ袋や新聞紙、段ボール等を利用する方法もあります。こちらも「防災イツモマニュアル」の中で紹介されていますのでぜひご覧くださいね。

在宅避難なら、非常食もおいしい

最後は食料の備蓄についてのお話です。従来は、家庭での備蓄量として「3日分以上」が推奨されていましたが、2013年5月に南海トラフ巨大地震の被害想定が見直され、「1週間分以上」が推奨されるようになりました。1週間分の備蓄と考えると、購入するのも保管するのも大変そうですが、現実的にはこんな感じになるようです。

1~3日目

冷蔵庫や冷凍庫に入れている食材や、普段買い置きしている食品を食べます。お菓子や菓子パン、ラーメンやパスタ、お好み焼き粉やホットケーキミックスといった粉類など、買い置きしているご家庭も多いのではないでしょうか。普段から冷蔵庫や冷凍庫をスカスカにするのではなく、買い置きをする習慣をつけておくことで、災害時にも数日分の食料が確保できます。

「イツモ」の備えが命を守る。会員さん&スタッフ向け防災講座開催レポート

4~7日目

買い置きの食料が終わった後は、備蓄している非常食を食べましょう。この時に覚えておきたいのが「ローリングストック」という備蓄方法。4日分(12食分)の非常食を用意し、1か月に1回、普段の食事として1食分を食べて、その分新しい非常食を買い足すという方法です。毎月1食分の消費と買い足しを繰り返すことで、1年後には最初に用意した12食分が全て買い足した食品と入れ替わります。備蓄する食品はレトルトカレーやフリーズドライ食品、ご飯パック、朝ごはんは軽めで良いという人はシリアルバーを選択することもできます。賞味期限は1年あればOK。

おいしくて食べるのが楽しくなるものをチョイスするのがポイントです。腹持ちの良さ栄養バランスも考慮できると良いですね。また、レトルト食品を温めたりフリーズドライ食品を食べる際にはお湯が必要になるため、カセットコンロとカセットボンベも準備しましょう。

「イツモ」の備えが命を守る。会員さん&スタッフ向け防災講座開催レポート

「非常食」というと、「あまりおいしくない」「我慢しながら食べる」というイメージがありますが、この方法であれば、おいしい食事で体も心も元気になりそうです。最近はローリングストック用のセット商品も販売されていたりするようですよ。

いかがでしたか?
ここでは全てを紹介することはできませんが、このほかにも「へぇ~!」と納得できてすぐに実践したくなる内容がもりだくさんでした。
なんとなく後回しにしてしまいがちな防災対策ですが、具体的にどのような対策が必要なのかを知ることが、行動を起こすための大きな後押しになることを感じた研修でした。非常時でも家族が安全で健康的な生活を送れるように、できるところから備えていきましょう。

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