ノーベルと学ぶ保育

保育スタッフ研修|子どもの事故はどんなときに起きるか?

こんにちは、ノーベル事務局です。

ノーベルでは保育スタッフに向けて、定期的に専門的な研修を開催しています。
先日は保育の安全研究・教育センターの所真理子先生をお招きして、「家庭内保育の際のリスクマネジメント」について学びました。所先生は、子どもの安全の専門家として研修・講演会講師のほか、企業からの相談や安全規格の委員等も行っており、直近では、以下の本もご出版されています。

『イラストで学ぶ 保育者のための「ハザード」教室 子どもの「危ない!」の見つけ方・伝え方』


イラストで学ぶ 保育者のための「ハザード」教室 子どもの「危ない!」の見つけ方・伝え方

今回は「自宅預かりを安全に安心して行うために知っておきたいこと」をテーマにお話いただきました。

子どもの事故はどんなときに起きるか?

まずはじめに子どもの事故はどんなときに起きるのか、また気をつけるべきポイントはなにか、ということについて消費者庁のグラフなどをもとにお話いただきました。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2018/white_paper_126.html

こちらのグラフを見ると、「ころぶ」が最も頻繁に起こり、ほとんどの場合は軽症でまれに重症な怪我になることがわかります。このような怪我の場合、「1件の重い事故があったとすると、軽微な事故が29件あり、その背景には300件のヒヤッとしたことがある」というハインリッヒの法則が成り立つので、ヒヤリハットを知見として集め、事故を予防していくという対策ができます。
一方で、「おぼれる」のような、頻度は少ないけれど稀に起きたときには重症のリスクが高い、といった事故においては、そのような法則は成り立たず、突然・稀に起こる事故になるので、ヒヤリハット対策も立てられません。
ヒヤリハットは非常に大切な考え方で、ノーベルでもお預かりの際にあったヒヤリハットを蓄積して対策を講じていますが、それだけでは解決できない事故もある、ということを認識しておくべき、と学びました。

なぜ子どもは事故にあうのか?

子どもが事故にあう理由は端的に、子どもがどんどん発達するから、です。
子どもはどんどんいろんなことができるようになります。それにともなって、周囲の環境や周囲の大人の注意が追いつかなくなり、事故が発生しやすくなってしまいます。
少し先取りしながら、次にこういうリスクがあるな、と注意して環境を整えていく必要があります。
発達段階ごとの起きやすい事故は、こども家庭庁のこどもの事故ハンドブックなどにも記載があるので、ぜひご参考ください。

こどもの事故ハンドブック

子どもとはなにかを理解すること

「子どもの安全」を考えることは、子どもとはなにかを理解することとつながります。
子どもはどのように世界を見ているのでしょうか。研修の中では、子どもがどのように周囲を認識しているのか、簡単に実感することができるチャイルドビジョンというツールを使って、実際に子どもの視界を体験してみました。

https://cap-j.net/save-child/view/childvision

このチャイルドビジョンを使って実際に、子どもの視点で周囲を確認してみると想像以上に視野が狭く、右左を確認するにもかなり首を向けないといけないことがわかります。

子どものどんな特徴が事故と関係するのか、子どもは大人に対してどのくらいの大きさなのか、といったことや、より具体的な観点では、子どもがよじ登るときに身体をどのように使っているかといったことをより詳しく知ることで、子どもの安全対策の幅も広がります。

家庭のなかには、子どもにとって危ないものがたくさんあり、事故で命を失うことがある、ということは事故事例が教えてくれます。

このほかにも実際にあった保育事故の事例を「Injury Alert」をもとに確認してみたり、家庭での保育で「これ、口に入れそうで危ないな」と思ったものをみんなでシェアをしたり、と子どもの「危ない!」というときになにができるか、どんなことが予想されるか、じっくりと考える機会になりました。

日頃からアンテナを立てて事例を知る

最近でも、小学校の給食でうずらの卵を喉につまらせてしまい、小学生の児童が亡くなるという事故も起きています。もちろん、事故を防ぐために、しっかりと対策をし事故が起きないようにすることが一番ですが、実際にはよく考えられているはずの給食であっても、先生が見守っている眼の前であっても、こうした事故は起こっています。平日に保育スタッフが集まる「スカッと!委員会」でもこの事故は話題に上がりましたが、日頃からアンテナを立てて様々な事例を知っておくことも重要だと感じています。

研修を受けたスタッフからは、「病気の時だからこそ、鼻詰まりや呼吸がしづらいなどリスクが変わることもあり、いつも以上に気を付けたい」といった声や「外の交通事故よりも家の中での事故のほうが多いという話を聞き、家の中だから安全ということなく気を引き締めたい」といった声などが上がりました。

ノーベルの訪問型病児保育ではご自宅での保育になります。ご自宅での保育は、保育園などの基準がしっかりと定まった施設ではないため、ベビーチェアやおもちゃ、トイレや就寝環境など、本当にご家庭によって違いがあり、危険な箇所・危険な場面も変わってきます。
子どものおもちゃや遊びも日々新しくなり、周りの環境も変化していきます。定期的に子どもの事故やリスクマネジメントについて考える機会を設け、これからもノーベル全体で安全・安心の保育の質を高めていきたいと思います。

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