(2021.03.09更新)
ノーベルの保育品質
病児保育奮闘記|高熱5日目、咳で眠れない1歳の女の子
日々の保育で出会うお子さまとのやり取りをご紹介する病児保育スタッフ奮闘記。
今回は、高熱が続き、クループ症候群と診断された1歳3ヵ月の女の子です。
鼻水がひどく息苦しさもあって苦しそうでしたが、病児専門のベテラン保育スタッフならではのケアと寄り添いの保育が詰まった一日でした。
()内の保育スタッフの心の声とともに、臨場感あるレポートをお楽しみください。
お子様プロフィール
Aちゃん:1歳3ヶ月
大阪市在住
――――予約時の状況――――
4日前から高熱が続き、変動はあるが昨夜は39度以上。
病名はクループ症候群。緊急外来を受診し薬をもらい、一旦36度台に熱は下がったが再び39度台にあがる。
親御さんからは、強く泣いてしまうと呼吸がさらに苦しくなるようなので、なるべく泣かないようにお願いします、とのこと。
詳細に病状・経過が記載されていて、親御さんの心配がうかがえます。
コラム:クループ症候群とは
風邪ウイルス等が原因で、声帯付近が細くなってしまうような状態で、「オットセイの泣き声」のような咳をともないます。鼻水や咳でさらに息苦しさが増します。
当日の玄関前、ドアが開くとパパに抱っこされているAちゃんの姿が見えました。
まずは、お父様にご挨拶。それからAちゃんにも声をかけてみると、Aちゃんもこちらをチラチラ観ている様子。
(パパもスタッフも泣かないことに驚き、思わず顔を見合わせていました!)
パパに手を振ってお見送り。「いってらっしゃーい」
(あれ?大丈夫なのかな?しんどくても、泣かずにバイバイできて、えらかったね~)
スタッフもホッとしたのも束の間、声をかけると…
「ママぁ~!」と大粒の涙…
抱っこしたまま、『ゆりかご』を歌って ゆらゆら…。
だんだん静かになってきて、Aちゃんの頭が肩につきました。
(眠たくなってきたのかな)
抱っこのまま、ソファーに座って足を触るとまだ冷たく、(なかなか眠れないよねぇ)
足をマッサージして温めてから、呼吸がすこしでも楽になるように枕部分を高くしてお布団に寝かせてあげました。
でもなかなか眠れなくてぐずり泣き…。
足のマッサージは気持ちいいようで続けていると、うとうと…
頭をゆっくり撫でていると目を閉じて眠ってくれました。
(眠れるときにいっぱい眠れるといいな…)
約1時間ぐっすり眠って、笑顔で目が覚めました!
抱っこしておもちゃの前に行くと、機嫌よく太鼓をトントン…♪でも、鼻水はズルズルです。
ティッシュを近づけると嫌がらずにじっとしてふかせてくれました。
アンパンマンのピアノ絵本を音に合わせて歌ってみると、 笑顔でお尻ふりふり!とても楽しそうに遊べました♪
(アンパンマン好きなんだね。すっかり慣れてくれてよかった)
しばらくたって検温してみると 39.5度! でも機嫌よく遊んでいます。
(手足は温かくない、解熱剤は様子を観てから、と親御さんより言われているし…)
いったん昼食にしようと、おじやを温めて食べさせてみますが、嫌そうな表情でしばらくお口の中でもごもごしてゴクン。
2口目は首を横に向けて嫌がってしまいました。
(鼻水がズルズルで、喉の奥に詰まって気持ち悪いんだね、きっと。)
高熱が続き、お昼ご飯も進みません…。
自分だけの判断で決めてはいけないと思い、本部にヘルプの電話。
本部スタッフに経過を連絡して、親御さんにも連絡してもらいます。
状況を説明して、保育経験の多いスタッフよりアドバイスをもらいます。
その間もスプーンをお口に何度か持っていくと、気分が変わったのか、半分ぐらいは食べてくれました。
お茶もたくさん飲んでくれてひと安心。
食べ終わると、手を伸ばして「抱っこして〜」の仕草。
検温38.9度。抱っこすると すぐにうとうと…、そのまま1時間半ぐっすり眠ってくれました。
お昼寝中に保育の様子を報告。
昨晩あまり眠れなかったので、ぐっすり眠れてよかったと親御さんも安心してくださいました。
しばらくして、お目覚め。
もう少し寝ててもいいよ~、と頭を撫でると、泣き出してしまいました!
起きる?と声をかけると、「うん」とうなずき笑顔になりました。
検温39.3度、でもおもちゃの前に座って機嫌よく遊んでいます。
(こんなにお熱高いと、本当はしんどいだろうな…)
1時間後、検温38.4度、おやつはバナナとビスケット。
バナナを1口、また嫌そうな表情で食べました。
2口目は首を横に向けて嫌がります。(何度か口に持っていきましたが食べません…)
ビスケットも試してみましたが、食べませんでした。
お茶はゴクゴク。自分でマグカップを持って飲んでいました。
(水分が摂れてひと安心…!)
おやつを食べた後は、笑顔でテレビや音の出るおもちゃのリズムに合わせてダンス♪
最後の検温は38.7度でした。
少し遊んで、また眠くなった頃にお母様がご帰宅、Aちゃんは「ママぁ~」と抱っこ。
(ママが帰ってきて安心したね)
今日の様子をお話しして、荷物をもって帰ろうと玄関に向かうと、お母様に抱っこされたAちゃんは、きょとんとした表情で見送ってくれました。
お熱高かったのによくがんばれたね。
ゆっくりからだを休めることができたかな。早く治りますように。
また来た時も、かわいいダンスをみせてね♪
本部スタッフより
一日高熱が続いたAちゃん。人見知りとのことでしたが次第にスタッフにも慣れてくれて、お昼寝もできて、身体を休めてもらうことができてよかったです♪
おもちゃで気持ちを紛らしたりしながら少しずつお子さんとの距離を近づけていく様子は、さすが、スタッフの長年の病児保育の経験が伺えます。
Aちゃん、早くよくなりますように…☆
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