代表長谷亜希ノート

淀川パックが終了(淀川区との提携更新ならず)

3月、衝撃的なニュースが。
淀川区との訪問型病児保育の公募選定結果でノーベルではなく他事業者が選ばれた。

淀川パックとは

ノーベルの共済型・100%モデルが行政に取り入れられ、スタート
ノーベルの病児保育が半額以下で利用できるということで、利用者も利用率もUP
どこよりも実績を出し、利用者満足度も高かった

2016年度も継続させたいと思い公募に応募。
しかし、他事業者が選ばれたのだった。

色々思うことがあったので書いてみようと思う。

行政と提携するとどういうことが起きるのか

今回、別事業者に決まったことで
■ノーベルを退会しますか?
■ノーベルを使い続けますか?
という選択を会員さんにしてもらわなければいけなかった。

約140名の会員さんにヒアリング。

行政にとってはふつうのことかもしれないが、経営の観点でいくと「事業の売り上げが1,000万円ほどがごそっと抜ける」という考え方をする。この事業だけをやっているところで、1,000万円の売り上げがなくなったら、雇用した人に給料は払い続けられないし、組織自体はつぶれる。倒産。
もちろん、こういうリスクはあって、いつかこういう時がくると、起きうるリスクリストの中には入っていた。

だから、私は事業売り上げのうちの自主事業・寄付・行政の委託事業の割合や内部留保の目標も決めている。なので、ここは心配いらないけど、行政と一緒にお仕事すると、こういうことが起きるということを想定しておかなければいけないと改めて思った。

病児保育を広めるとは

最近、病児保育の新規参入が増えている。

ノーベルで利用会員向け説明会をしているが明らかに競合他社の方がいらっしゃるなと感じる。
事業者観点の質問だったり、メモの取り方や視線、表情をみているとすぐにわかる。

2010年にノーベルを立ち上げたときには考えられないこと。

実は、模倣されまくっている。これは光栄なことで認められていることなので嬉しい。
広がってひとりでも多くの親御さんが助かるならいいことだ。

ただ、淀川パックが他事業者に選定されたことはもっと奥が深いと思っている。

それは、私たちノーベルが本気で「子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会」を実現させたいと思っていて、そのためにいろんな脅威やリスクと戦っていることを伝えたい。

そもそも、100%対応モデルで共済型はノーベルの独自のモデル。

それを行政側に提案をして取り入れてもらった。
実績を出すために積み重ねてきた1つ1つのスタッフの地道な実践や信頼関係の構築、それによってできたブランドをノーベルが形作ってきた。

今回、それをごそっと他事業者に渡さなければいけないのだ。自ら育てたものを手放す。

この制度は全国にはないモデルで、病児保育としては一番結果を残しているモデル。

結果として、たくさんの地方自治体からノーベルに連絡がくるほど注目されている。
私たちのこだわりはいかに親御さんの「いざ」に応えられるのか。
だから、かなり細かく制度設計にこだわった。

それは親御さんのため。
どれだけの「安心」を提供できるのか。
そして、「誰でも利用したいと思ったときに利用できるものにしたい」
そう思って、惜しみなくノーベルのノウハウを出した。
それを淀川区さんは取り入れてくださった。

ここの時点で、もしかしたらいつかは公募なので他事業者にうつることになるかもしれない。
もし、他事業者がスタートし始めて、資本が大きいところであれば一気に食いつぶされる可能性もでてくるかなぁ。変に中途半端に結果も出ずに、病児保育が衰退していく可能性もあるなぁ。
など、どんなことが起きるのかリスクを考えていた。

でも私はそれでもやる。そう決めた。
そして2年が経過し、実績を残した。そして、2016年度から違う事業者にいく。

私たちは自分たちノーベルを守る必要はない。
私たちは大阪の病児保育業界において、ソーシャルインパクトを出せるスタート地点まできたのではと思っている。

やれる人がやったらいい。
私たちはまだ誰もやれないことに進んでいくだけ。
世の中にはまだまだやらなければいけないことが残っているから。

ノーベルの利用会員のみなさんに思うこと

私たちが今回のことで一番申し訳ないと思っていることは会員さんに対してです。

選定結果がでたのは3月過ぎてからで、4月1日にスムーズに移行して使えない可能性がでてきたためです。実際に淀川区の方は今日もノーベルを使っています。

突然のことでかなりの方が不安になったかと。
であるにも関わらず、本当に多くのうれしいお言葉をいただきました。

「ノーベルさんのおかげで働き続ける勇気をもらいました。」
「ノーベルさんじゃないとダメです。」
「いつ誰がきてもどの方も素晴らしい保育スタッフさんでした。」
「いつも安心をありがとうございました。」
「私はノーベルの理念に共感しています。がんばってください」

などなど、すごく感じることがあって、感極まった。
それは、スタッフたちも同じ気持ち。

そして、今の私たちにできることは何かを話し合い、緊急措置をとることにした。
●4月に入会できないかもしれない。
●他事業者の情報収集をしたいから、もう少し時間がほしいのに。。。
●使ってみて、あんまりだった場合は戻りたい。

そんな声にお応えします。詳細はメールを本日お送りします。

今回、特徴的だったのが、多くの方が淀川区にご自身の意見を訴えてくださったこと。
こちらからお願いもしていないのに、みなさんが自ら伝えてくださったことが私たちは本当にうれしかった。こうやってよりよいモノを作っていくきっかけになればと思います。

公募の点数は僅差。
実績の点数がなぜかノーベルが下だったことに納得がいかなかったので、淀川区には正式にヒアリングさせていただきました。

私たちは施設型の病児保育件数や、ベビーシッター会社など民間が行っている病児保育施設の実績は、何人登録すれば何件起きるのか、利用料金によっての利用件数などある程度予測できます。
実績は数字でしか表せないですからね。

だからこそ、審査委員の方には実績の定義を問いたい。審査委員が実績の根拠を全部みるわけではないですが、ノーベルは実績を公表しているので色々と思うことがありました。

これからの病児保育の在り方

実は病児保育発祥の地は大阪なんですよね。

まずは施設型の先生方が地道に築いてきてくださり、今がある。

新規参入が増えていることは書きましたが、大阪はほかの自治体に比べて、病児保育に取り組もうとしている、また取り組んでいる方だと思う。

ただ、取り組むことと意味のあるものを作ることはまったく別物。

私はこれからの病児保育の在り方を改めて議論する時期にきているのではと思う。
市民にとって良いのはどういったものなのか。
税金を最適化するためにはどんなものがいいのか。

病児保育施設という歴史から、訪問型病児保育が現れ、民間の新規参入が施設型でも訪問型でも増える時代に突入。

そして、そのおかげで色んなデータがとれ、結果が見え始めている。
ここからどうするかが肝。

また、今回ノーベルのモデルを他事業者がすることの意味もすごくある。
結果は出せるのか。
数字を見守りたい。
そして、その数字をしっかり分析をしたい。

最後に、淀川区長はじめ、担当職員のみなさんにはとても感謝しています。

何の実績もない、小娘にこのような機会をいただけたこと、ノーベルを信じ続けてくださったこと、この学びを次に活かしたいと思ってます。

今回のことが小さなイノベーションとなり、ひとりでも多くの親御さんとお子さんのサポートにつながると嬉しい。

さ、今日から新年度!
2016年度は大きな変化が起きそうなノーベル。

スタッフのみんなと一緒に地道に丁寧にやるべきことをやっていきたいと思います!

今年度もどうぞよろしくお願いします。

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