社会の課題

子育てと仕事の両立に関する調査結果を発表 ~両立満足度に影響を与える子育て家庭の困りごととは?~

訪問保育事業を行う認定NPO法人ノーベル(本社:大阪市中央区、代表理事:高 亜希、以下:ノーベル)は、新事業「子育て家族のまるごとサポート」の開発にあたり、子育てと仕事の両立満足度に関する調査を実施。両立満足度に影響を与える働き方や第三者サービスの利用状況、家庭の困りごとや必要とするサポートは何かが調査結果から見えてきました。

調査背景

ノーベルは、創業10周年の2019年に「両立をつくりなおす」というスローガンを掲げ、”病児保育のノーベル”から”両立を総合的にサポートするノーベル”へシフトチェンジすることを発表。コロナ禍を経て、子育て世帯のニーズや求められているサポートを把握するため、2022年9月~2023年2月にかけて約1,300名に対するWEBアンケート調査とインタビュー調査を実施しました。 

調査概要

 ① 一般家庭調査
調査方法:インターネット上での回答
調査期間:2022年9月9日(金)~9月12日(月)
調査対象:子を持つ働く女性
調査対象者数:1,032件
② ノーベル会員家庭調査
調査方法:インターネット上での回答
調査期間:2022年9月21日~10月3日
調査対象:ノーベルに登録している子を持つ働く親(回答者:母親:94.6%/父親:5.4%)
調査対象者数:278件
③ノーベル会員 インタビュー調査
調査方法:個別オンラインインタビュー(1家庭2時間)
調査期間:2023年1月23日~2月18日
調査対象:②のインターネット調査回答者の中から選定
調査対象者数:10家庭

調査結果 主なトピックス

子育て世帯の困りごととは?
【1】両立不満足層が特に困っていることは「心身の余裕がない」「家事の時間が確保できない」「子どもと接する時間がない」であり、両立満足層との差も2倍以上ある

子育てと仕事の両立の状況に「満足していない/やや満足していない」と回答した「両立不満足層」が困っていることの上位は「心身の余裕がない」「家事の時間を十分に確保できない」「子どもと接する時間が十分確保できない」でした。自分が思うように時間を使えないことや、時間の余裕のなさが両立満足度に影響しており、ひいては心身の余裕のなさにもつながります。両立満足度を高めるためには、タイムマネジメントが鍵となることがわかりました。

子育てと仕事の両立で困っていること

「勤務時間」による両立満足度への影響は?
【2】週あたり勤務時間が「週に16~24時間未満」の層が、両立満足層のなかで最も多く、両立満足度による差が最も大きい

勤務時間による両立満足度の影響を見ると、週あたり勤務時間が「週に16~24時間未満」層は両立満足層が高い傾向があり、「週24時間」を超えると、大きな差は見られませんでした。

勤務時間による子育てと仕事の両立満足度

「 周囲のサポートの有無」が与える両立満足度への影響は?
【3】両立満足層は「親族・知人のサポートを受けている」「第三者サービスの利用経験がある」割合が、両立不満足層よりも高い

両立満足層は、不満足層に比べて、「親族・知人のサポートを受けている」割合が10.2ポイント高く、またベビーシッターのような「第三者サービスの利用経験がある」割合も、8.1ポイント高い結果でした。周囲のサポートを得ることが、時間や心身の余裕につながり、両立満足度に影響していることが伺えました。

第三者サポートの有無と満足度

【4】両立不満足層のほうが「育児支援」や「家事支援」の第三者サービスの利用意向が高い

両立満足層と比べ、両立不満足層は「育児支援サービス(6.8ポイント差)」「家事支援サービス(9.2ポイント差)」の利用意向が高く、サポートを必要としていることが伺えます。

第三者サービスの利用意向

パートナーの育児家事参画における両立満足度への影響は?
【5】「自分ひとりが(ほぼ)すべての育児を担う」ワンオペ状態は、両立不満足に影響しているが、「分担割合」よりも「分担における希望との乖離」がより影響が大きい

パートナーとの分担において、「自分ひとりが(ほぼ)すべてを担う」層は、不満足層の割合が、満足層より10ポイント以上高く、満足層と不満足層の差が一番大きく表れました。

子育て分担割合による両立満足度の違い

パートナーとの分担について、希望との乖離があるか問う質問に「おおいにある」と答えた人の割合が、両立満足層より、不満足層が2.8倍多い結果でした。両立満足度をあげるには「分担における希望との乖離」を減らすための取組みが必要となります。

子育て分担における希望の乖離

【6】病児保育サービスを利用するノーベル会員家庭は、一般家庭に比べ、親族知人からのサポートが少なく、パートナーの育児家事分担比率が高い。また「パートナーとの時間を十分確保できない」と答える割合が、一般家庭より1.7倍高い

パートナーと育児家事を分担する上で、ホウレンソウや対話等、夫婦でコミュニケーションをとりながら進めていくことが必要になってきます。ノーベル会員家庭は、一般家庭よりパートナーの育児家事の分担比率が高く、夫婦間コミュニケーションがより必要だからこそ、「パートナーとの時間を十分に確保できない」と回答する割合が、一般家庭よりも多かったのではないかと推察されます。

パートナーとの時間

パートナーとの家事分担と両立満足度

職場環境が与える両立満足度への影響は?
【7】「働きかたの柔軟性が低く、負担がある」にあてはまると回答した人は、両立満足層と不満足層との差が、すべての困りごとの中で最も大きく、3.4倍ある

職場環境や働きかたに関係する困りごとは、他の困りごとよりも、両立満足層と不満足層との差が大きい傾向があります。インタビュー調査においても、「上司・同僚の理解・協力」や「勤務時間や在宅勤務等の働きかたの柔軟性」の有無が、仕事の継続を左右する一因であることがうかがえました。

仕事の柔軟性と両立の困りごと

【8】職場の福利厚生補助は、サービス利用の後押しとなる。金銭的な補助に加えて、同僚からの口コミがあり、安心感をもって利用できることも要因である

ノーベル会員家庭のうち、4割弱が職場の福利厚生で訪問型保育への補助が出ており、第三者サービス利用の大きな後押しとなっています。

インタビュー調査からは、単なる金銭的な補助だけでなく、職場全体で導入されていることから、①サービスの情報収集・選定プロセスを省けること、②一定の信頼・安心感があること ③上司・同僚の口コミを聞けること等の状況もあいまって、利用決定に至りやすいことがわかりました。

また地域のママ友がいない母親も多く、ライフスタイルや価値観等が似ている職場の上司・同僚からの口コミが、ストレスなく効果的に広まっていくこともわかりました。

職場の福利厚生の充実度と満足度

【9】両立満足層は、課題解決の「仕組み化」が得意な傾向がある。便利家電もフル活用で生活をまわしている!しかし人に依頼するのはハードルが高い。

【1】~【8】で伝えた内容以外に、ノーベル会員へのインタビュー調査においてわかったポイントは以下の通りです。

  • 両立満足層ほど、あらゆる生活の仕組み化の工夫を行っている
  • 家電をフル活用!ネットスーパーや定期宅配、宅食活用、スケジュールやtodoアプリで家族連携
  • 家庭ごとに分担比率は違うものの、父親も一通りの家事育児は対応可能で、任せられる家庭が多い
  • 両立満足層においても、家事代行等の第三者サービスの定期利用者はごくわずか
  • 利用意向はあって調べてはいるものの、利用決定まで至らない
  • 第三者サービスは「いつ何をどれくらいお願いするのか」というオペレーション設計が必要でサービス利用に至るまでのハードルが、家電とは比較にならないほど高い
  • 代替手段がないもの、頻度と依頼内容が具体化しやすいものは依頼しやすい

調査結果から見えてきた、子育て世帯に必要なサポートとは?

【1】~【9】の内容をまとめると、以下の通りです。

 

  • 両立満足層と不満足層で差が大きかったのは「心身の余裕」と「時間の余裕」
  • 親族・知人や第三者サービス等、人の手を借りると、両立満足度はあがる
  • 第三者サービス等、人へ依頼するのは高いハードルがあり、利用決定に至らない家庭が多い
  • パートナーと育児家事の分担をするにあたり、夫婦間コミュニケーションの時間もより必要
  • 職場環境が「両立満足度」に与える影響が大きい。企業から個人へのアプローチが有効

 

その中でも、「第三者にサポートをお願いしたくても、利用決定に至らない」そんな家庭が多いことに着目。

「いつ、誰に、何を、どの程度してもらうか、タスクを分解して考えることが面倒で難しい」
「そもそも、我が家のニーズ、自分やパートナーのニーズを明確にすることだって難しい」
「ニーズに合ったサービスはどこにあるのか?信頼できる業者なのか?予算に見合うのか?」
「自分の希望はあっても、パートナーに理解してもらえない…」
「とにかく時間がなくて、リサーチも検討も、家庭内の相談もやり切れない」

このように、子育て世帯の「意思決定」に関わる要素は複雑に絡み合っているため、そもそも意思決定がとても難しいのです。

いくら子育て世帯の負担を軽減するモノやサービスがあっても、各家庭がサービス利用に至る前段階でつまずいてしまい、活用されないという状況に対して、ノーベルは今回、その家庭の意思決定プロセスをサポートする機能を備えた新サービスを開発することにしました。

新事業「子育て家族のまるごとサポート」概要

新事業「子育て家族のまるごとサポート」では、家事育児の日常の仕組みづくりや外部サービス等の選定をコーディネートする担当ガイド1名と、生活まわりのサポートを行うケアスタッフ数名がチームを組んで、各家庭のニーズに応じたサポートを提供。

子育て世帯の日々の生活の「まわらなさ」や「頼みづらさ」を解消し、家族と協力し、必要に応じて人の手を借りながら両立生活を乗り越えていくために、環境づくりや仕組みづくりをお手伝いします。

子育て家族のまるごとサポート

モニター募集後の反響と今後

11月14日のモニター募集開始後、第1期募集数10家庭に対して、3倍以上の応募申込みをいただきました。また、申込みくださった方々からは切実な声が届きました。

「職場が異動になり、通勤に時間がかかり 余裕がない生活。どこから、改善すればいいのか。子どもの話も余裕を持って聞いてあげられない」
「毎日の生活を回すので必死。誰かに大変さを共有できたらそれだけでも救われます。」
「夫が単身赴任でワンオペです。いろんなサービスがあって決断しかねています。今の習慣を変えるためにはエネルギーが必要です。 ただそのエネルギーが不足しているのでサポートをお願いしたいです」

生活を変えたい、子どものために家族のために状況を良くしたい、そんな子育て家庭に寄り添い「子育て家族のまるごとサポート」を年明け1月から6カ月間、モニター10組に対してテスト実施をはじめます。また、第2期募集についても1月に発表を予定しています。

2023年11月14日発表プレスリリースはこちら

お問い合わせ

取材ご依頼に関するお問い合わせは下記URLよりご登録ください。
https://nponobel.jp/about/media/

(認定NPO法人ノーベル広報 吉田)

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