(2021.05.18更新)
ノーベルと学ぶ保育
子どもの病気乗り切り術|夏の感染症(アデノウイルス・ヘルパンギーナ・手足口病)対策
こんにちは!ノーベル事務局です。
だんだんと日差しが強くなり、保育園や小学校でプール開きが行われたところも多いのではないでしょうか。そして…、そろそろ保育園でも夏特有の感染症が流行る季節になってきました。
ノーベルでも夏の感染症に罹患したお子さんのお預りが急増します。
「えっ、感染症って、冬だけじゃないの!?」
私も最初はインフルエンザやノロウイルスくらいしか感染症を知らなかったので、初めて夏に流行する感染症があると知った時は驚きました。
そこで、特集「子どもの病気 乗り切り術」として、毎年この時期に流行る子どもの病気の概要とその対処法、予防法などをお伝えしたいと思います!
夏の三大感染症は?
アデノウイルス(プール熱)
ヘルパンギーナ
手足口病
名前は聞いたことあるけど、それってどういう病気なの?
かからないためにの予防法は?
今日行った病院で陽性反応が!どれくらい休みが必要?
など、病気の種類、症状や感染症によってはどれくらい登園できないのかは特に気になるところですね。症状によって必要な休みも違うので、チェックしてみてください。
アデノウイルス(プール熱)
毎年6月頃から流行します。プールを介して感染することが多いことから、一般的にはプール熱(咽頭結膜熱)とも呼ばれています。
症状
症状としては、39℃を超える熱が4~5日続きます。頭痛、喉の痛み、吐き気、腹痛、下痢などを伴うことも。他にも、はやり目や胃腸炎になることもあります。
主な症状は「咽頭=のど」と「結膜=目」に現れ、突然の発熱から始まります。
・発熱(38~40度)※比較的長く続く(5日前後)
・咽頭炎(のどの痛み、食欲不振)
・結膜炎(目の充血・痛み、目やに、まぶしい、涙が出る)
といった症状が3~5日程度続きます。この他に一般的な風邪の症状が出ることもあります。潜伏期間は5日~7日程度。
プール熱は発熱、咽頭炎、結膜炎などの症状がなくなった後も2日間は登園禁止です。
なお、アデノウイルスには多くの型(67以上)があり、そのうちのいくつかの型で発症します。(ですので、一度かかっていても何度もかかる可能性があります…!)
対処法
感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」。また、プールの塩素消毒が十分でない場合はプールの水からも感染する可能性があります。
注意すべき点は、アデノウイルスは「エンベロープ(膜)がない」ウイルスのため、消毒用エタノールなど(膜を壊して消毒する)が効きにくい、ということ。つまりは感染力が非常に強いウイルスですので、流行時にはしっかりとした予防が必要となります。
特効薬はないため、対症療法が中心になります。解熱剤や痛み止めなど症状に合わせて処方してもらいましょう。
高熱が続いて食欲をなくすと脱水症状になる危険があります。こまめに水や経口補水液をとるようにしてくださいね。
食べ物や飲み物は、のど越しのよい刺激の少ないものがおすすめです。冷製ポタージュスープや冷ましたお粥、冷奴、ゼリーやプリンなど、冷たいものが食べやすいですよ。
登園は?
学校安全法ではインフルエンザなどと同じ「第二種伝染病」という位置づけで、「主な症状が消えたあと2日を経過するまでは出席停止」とされています。
参考
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、主に4歳以下の乳幼児に、夏から秋にかけて流行する夏風邪の一種です。毎年5月頃から出始めて、7月に流行のピークとなり8月以降は減少をし始めて、9月から10月にかけてほどんど見られなくなります。
ヘルパンギーナという名は「ヘルペス」=「水疱」、「アンギーナ」=「痛み」という意味があり、これがくっついて喉の強い痛みを引き起こす「ヘルパンギーナ」という呼び名になりました。
1歳の子どもが一番かかりやすく、ついで2歳、3歳、4歳、0歳となっています。
症状
ヘルパンギーナの特徴は、突然の高熱と喉の痛みです。コクサッキーウイルスなどにより、38~40度の発熱で発症し、同時に喉が痛みます。発熱が1~3日続いて、食欲不振、全身のだるさ、頭痛などを起こします。
感染経路は、プール熱と同じく「飛沫感染」と「接触感染」。子どもたちが顔をひっつけて遊んだり、おもちゃの共有をすることで、保育園等で流行します。
2~4日の潜伏期の後、急に38~40度の高熱が出ます。
続いて喉の痛みと、喉の奥の粘膜が赤くなるといった症状が現れて、喉の奥や口の周りなどに小さな水膨れができます。破れて潰瘍になると激しい痛みを伴います。
高熱によるだるさや口の中の痛みなどから、食事や水分を十分にとれず、脱水症状になることもあります。
対処法
ワクチンがないため、こまめなうがいと流水でしっかり手を洗い予防することが大切です。
タオルや食器、おもちゃなどの共有は避けて、感染している子どもが触れた物を消毒することも感染を防ぐポイント。まれですが、大人も感染します!
症状がおさまっても、数週間はウイルスが体内から排出されます。排泄物に含まれるウイルスから感染することがあるので、おむつ替えやトイレのときは特に気を付けてください。
安静にしていれば自然に一週間ほどで治りますが、水分を取らないことによる脱水症状になりやすいため、水分補給に気をつけましょう。
登園は?
「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」によると、登園の目安としては、発熱や口の中の水ほう・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれることです。
かかりつけ医の「病状が回復し、集団生活に支障がない状態」との判断を受けてからの登園になります。
参考
手足口病
発熱以外にも、口の中や手足に水ぶくれ状の発疹ができる感染症です。
症状
初期症状だけでは普通の風邪と診断されることがありますが、感染後、約3~6日で手のひら、口の中、足の裏、おしりなどに小さな盛り上がった水疱性の発疹が出てきます。
水疱(水ぶくれ)で痛みがでる場合も多いです。約1〜3日間、発熱する場合もあります。
水疱は、かさぶたにならずに治る場合が多く、約1週間程度でなくなります。
1〜2ヶ月後に手足の爪がはがれることがありますが、大事にはいたらず、すぐ新しい爪がはえてきます。
感染経路
感染経路はやはり接触感染、飛沫感染。
ウイルスが付着した粘膜や皮膚に触れることで感染します。舐めて唾液や鼻水がついた「おもちゃ」の貸し借りなど、手が触れることで感染することがあります。自宅では予防できたとしても、保育園ではなかなか予防が難しいかもしれませんね。
手足口病が飛沫感染するイメージは弱いかもしれません。しかし、風邪などと同様に咳やくしゃみによって感染します。マスク着用は効果的な飛沫感染の予防法の1つだと言えます。
対処法
経過観察と対処療法が中心になります。
発疹は1週間ほどで落ち着きますが、口の中の水泡がつぶれて口内炎になることがあり、その場合痛みで食事や水分が取れず脱水症状を起こすことがあります。
・脱水に気をつける
口の中の発疹で、食事や水分摂取を嫌がり、「脱水症状」をおこす可能性があるので気をつけましょう。
・食事を嫌がる場合は
口の中や喉にできた発疹が痛くて食事がとりにくい場合があります。
一口ご飯を食べさせただけなのに激しく泣いてしまったり、ミルクは飲むけれども食事は嫌がったり…。
そういう場合は痛みが原因かもしれません。
・おすすめの食事
やわらかい、喉越しのよい、薄味の食事(おかゆ、おじや、うどん、パンがゆなど)
塩味や酸味がない(弱い)食事
口当たりのよいもの(プリン、ヨーグルト、アイスクリーム、ゼリーなど)
おかゆやうどんは、やわらかくて喉越しがよいのですが、熱さで痛みを感じることがあります。冷ましてからの方が食べやすいでしょう。飲み物も冷たすぎるとこれもまた痛みに繋がるので、常温の飲み物を用意しておきましょう。
回復後も口(呼吸器)から約1〜2週間、便から約2〜4週間にわたってウイルスが排泄されます。発疹が消えるとついつい安心してしまいますが、意外と長い間、注意が必要ということはあまり知られていないかもしれません。
おむつの交換後にウイルスが付着した手や指を介して感染が広がることもあります。
特に小さなお子さんがいる親御さんは、おむつ交換や食事のお世話など十分な手洗いをすることが大切です。発熱が1日~3日続き、手足や口の中に水泡性の発疹が出ます。
登園は?
通われている保育園にもよりますが、一般的には、発熱やしんどさ、食事摂取が可能などお子さんの全身状態が安定している場合は登園可能です。しかし、痛がったり、食事摂取が難しい、しんどそうな様子があれば無理をせずに自宅療養をする方が良いでしょう。
(※いずれの場合も、医師・保育園に確認をお願いします)
早め早めの予防が一番!
集団生活を送る保育園では、感染症が広まりやすい傾向にあり、飛沫や便、接触によって感染するため、場合によっては看病をしていた大人がもらってしまうこともあります。
感染症対策には、日常生活での早め早めの予防が一番です!
・こまめなうがい
・手洗いの際は石鹸を使って念入りに
・家族でのタオルの共用を避ける
・体を弱らせないためにしっかり休息をとり、日頃から水分摂取を習慣づける
・プールの後には、シャワーとうがい
・室内や寝具の湿気を取る
また普段から、バランスの取れた食事と十分な睡眠で抵抗力を高めておくことも大事ですね。
みんなで予防に努め、また適切なホームケアで、この夏を乗り切りましょう!
お一人では限界!無理~~という時は、ぜひノーベルの病児保育や周りの支援に頼ってください。
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