(2026.01.07更新)
代表長谷亜希ノート
まるさぽ開発舞台裏④「まるサポ」にしか作れない強みは、こうして生まれた~生成AIは、現場をどう変えたのか~
前回は、日本初となる子育てサポート「まるサポ」はどうやって生まれたのか、CoBe-Techさんとの開発秘話をお話ししました。
今回はその続きとして、開発したものを実際に現場に入れてみて、何が起きたのか。
そして、そこから生成AIをどう活かしていったのかをお話ししたいと思います。
まずは、できたものを持って現場に入った
起きたことを、すべてテキストにする日々。
2024年1月。私たちは約30家庭のモニター家庭での支援をスタートさせました。
現場でやったことは、とても地味です。
100問のアンケート(CoBe-Techと開発したアセスメントツール)に答えてもらい、親御さんの特徴を把握し、平井先生から教えていただいた問題解決療法のノウハウを活かしながら親御さんと話し、解決策を一緒に決め、意思決定のサポートする。
その中で、
・親御さんが何気なく口にした一言
・ガイドが感じた小さな違和感
・うまくいった関わり
・逆に、空回りしてしまった場面
・面談後の振り返り
起きたことを、できるだけそのまま、テキストに残す。
モニター期には、
1家庭を整理するのに、かなりの時間とエネルギーが必要でした。
「ここ、どう捉えたらいいんだろう」
「この家庭の場合、何が一番のボトルネックなんだろう」
考えて、迷って、先生に相談して、また現場で起きたことを言葉にして、また考える。
そんな繰り返しをした1年でした。
モニター期間で、私たちが確信したこと
モニター期を重ねる中で、私たちの中に、少しずつ、しかしはっきりとした確信が生まれてきました。
まず、強く実感したのは、 CoBe-Techさんと一緒に開発したアセスメントツールの精度の高さです。
また、モニター期間中、現場での気づきをもとに、
「もう少しここが見えるといいよね」
「この違いがわかると、関わり方が変わるよね」
といった声を拾いながら、 アセスメント自体もアップデートされていきました。
一方で、もう一つ、はっきりと見えてきたことがありました。
それは、 100家庭100通りの悩みに、画一的な支援では対応できないという、あらためての現実です。
同じ「時間が足りない」という悩みでも、背景にあるものは家庭ごとにまったく違う。
ただし、現場を重ねる中で、もう一つの気づきもありました。
それは、特徴と困りごとの組み合わせには、一定のパターンがあるということです。
完全にバラバラなのではなく、
「この特徴を持つ親御さんには、こういうつまずきが起きやすい」
「このパターンのときは、こういう支援が届きやすい」
という“型”のようなものが、少しずつ見え始めていました。
そのとき、ふと、こんなことを思ったのです。
「これが、データを入力したら自動で整理されて、親御さんの特徴が言語化され、
考えられる解決策の仮説まで出てくる仕組みがあったらどうだろう」
しかも、 困ったときに、いつでも相談できる存在がそばにあったら。
それは、単に業務負荷を軽くする、という話ではありません。
支援が特定のガイドの経験や勘に依存せず、誰が担当しても、その家庭に合った支援のスタートラインに立てる。
そして、 一つひとつの支援が、次の支援へとつながる「組織の知」として残っていく。
「もしかしたら、生成AIを使えば、それが実現できるかもしれない」
モニター期を通して、
私たちは、そんな未来を現実の選択肢として思い描くようになりました。
CoBe-Techさんから正式なリリースに向けた提案
生成AIを存分に活かすという発想。
CoBe-Techさんから、正式なリリースに向けた提案が届きました。
提案書に一貫して書かれていたのは、このモニター期間で積み上げてきたものを、どう活かすかという視点でした。
アセスメントツール。日々、現場で書き溜めてきた日報。スタッフ一人ひとりが悩み、考え、工夫してきた判断の積み重ね。
これらを最先端の生成AIと組み合わせることで、子育て家庭へのサポートのクオリティを高められるのではないか。そんな仮説が、提案の軸になっていました。
ちょうどその頃、2024年からの1年で、生成AIは大きく進化していました。
・文脈を読み取る
・情報を整理する
・変化の兆しを見つける
・次に考えられる選択肢を提示する
「現場で使える技術」になったことで、この構想は、現実的な選択肢として浮かび上がってきました。
そして、提案されたのが次の仕組みでした。

上記システムを構築することで、「情報を集める」「考えを整理する」「次の一手を考える」という、
これまで人が時間をかけて行ってきた作業を、システムが裏側で支えてくれるようになります。
親御さんのアセスメント結果や、日々のやりとり、日報の内容は、まずkintoneというクラウドツールに安全に蓄積されます。
そのデータを必要な分だけAIが読み取り、整理し、意味づけをする。
すると、
-
- その家庭の特徴や傾向
- いま大切にしたいポイント
- 変化の兆しや、つまずきやすい点
- 次に試してみるとよさそうな関わり方
などが、ガイドが理解しやすい形で整理されて返ってくるよというものです。
ガイドは、大量の情報を一から読み解く必要はありません。
事前に全体像をつかんだうえで、目の前の親御さんとの対話に集中することができます。
結果、支援の質を落とすことなく、むしろ一人ひとりの家庭に、より深く寄り添えるようになることを目指せます。
これ、素人のわたしたちが開発するの?
「これができたら、最高だよね」
CoBe-Techさんからの提案を見て、正直、そんな気持ちが先に立ちました。でも、すぐに現実に引き戻されます。
「……いや、ちょっと待って。これ、誰が開発するの?」
ノーベルの今の体制や、メンバーそれぞれの専門性を冷静に考えると、自分たちだけで進めるのは明らかに難しい。
「これは、ちゃんと誰かをアサインしないといけない」
そういえば…以前、Googleで講演した際に面識のあった方を思い出し、「もしかして…」と思い、早速相談してみることにしました。
そこから話がつながり、紹介していただいた方も交えて、ミーティングをすることに。
「それ、できますよ」
思いもよらない一言でした。また一人、救世主が現れた瞬間でした。
仲間がそろい、時代の流れと重なって、形になった
kintoneの構築を支えてくれた二河さん。
Googleツールや生成AIの技術面で力を貸してくれた横さん、
そしてCoBe-Techさんとのやりとりや全体の進行をまとめてくれたスタッフの兼城にシステム担当の林。
このメンバーがそろったことで、「できたらいいよね」という話は、
「もしかしたら、できるかもしれない」に変わり、やがて
「これは、やれる」という確信へと変わっていきました。
すべてを一度に完璧にするのではなく、リリース時点で本当に必要なものに絞って形にする。
そう判断したことで、2025年8月のリリースに向けて、構築は一気にスピードを上げて進みました。
こうして、今のまるサポの土台となる仕組みが、できあがりました。
▼2025年8月のリリースに合わせて開発したもの
▼現場での流れは、こう変わりました
・コミュニケーションの取り方のポイント
・考えられる困りごとの背景や解決の仮説
何よりも、GEMの存在によって、現場のあり方が一段階、確実に変わりました。
現場で起きた、確かな変化
モニター期には、 1家庭を整理するのに多くの時間がかかっていましたが、
今では面談前後の整理が20分程度でできるようになりました。
しかも、新人スタッフでも、一定水準のアセスメントや支援プランを立てられる。
GEMがあることで、ガイドは情報整理に追われず、目の前の対話に集中できるようになっています。
もう一つの価値は、使えば使うほど事例が蓄積され、
「このタイプの家庭には、こういう支援が届きやすい」という 知見が更新されていくことです。
これは、個人の経験に頼らず、支援とともに、組織も育ち、支援力を高めていく仕組みでもあります。
生成AIは、答えを出すためのものではありません。人が、人として向き合うための余白をつくるもの。
現場で積み上げてきた知恵を最大限に活かすために、私たちは最先端の技術を使っています
今、それが現場で毎日活用されていることを思うと、とても感慨深いです。
▼BEFORE まるサポ開発の舞台裏③|日本初となる子育てサポート「まるサポ」はどうできた?CoBe-Techとの開発秘話
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