代表長谷亜希ノート

【まるサポ開発の舞台裏⑧】 「子育てこそ、みんなで」を実現する、組織づくりへ。

これまでまるサポ開発の舞台裏シリーズでは、「まるサポ」の立ち上げや実践について書いてきました。ただ、その裏側で、もうひとつ、ずっと時間をかけて向き合ってきたテーマがあります。それが、「組織そのものをどう変えていくか」という問いです。

先日、全社に向けて、
「ノーベルはこれから自主経営組織に挑戦します」
という話を正式に共有しました。

これはノーベルにとって大きな挑戦であり、明確な転換点です。
今回は、その舞台裏について書きたいと思います。

すべては、コロナ禍の経験から始まった

この話の出発点は、数年前にさかのぼります。

私たちはコロナ禍という未曾有の事態の中で事業は大打撃を受け、現場も本部も余裕を失い、大切にしてきた仲間たちが組織を離れていくという、身を切るような辛い経験もしました。

支援を必要としている家庭があるのに、自分たちがその支援を守りきれない。

「スタッフが安心して働けない組織では、利用者さんも守れない」
「誰かの犠牲の上に成り立つ支援は、決して長くは続かない」

当時のノーベルは、いわゆる「ピラミッド型」の階層組織でした。
管理を強め、ルールを整え、承認を得てから動く。

それは一見、効率的で安全に見えます。

しかし、気づけば「ルールを守ること」自体が目的になり、現場の一人ひとりが持つ可能性や、目の前の親子に寄り添おうとする柔軟な発想を、組織自らが奪ってしまっていなかったか。そんな違和感がありました。

そこで2021年、私は一つの方針を決めました。

「働くスタッフをいちばんに考える」

支援を届ける私たち自身が、自分らしさを大切にし、最大限に力を発揮できる状態を作ること。それが結果として、親御さんや子どもたちへの最高のサポートにつながると考えたからです。

ビュートゾルフとの出会い、そして確信へ。

この問いを深める中で出会ったのがオランダの訪問看護組織「ビュートゾルフ」でした。

約1.6万人もの看護師がいながら、管理職が一人もいない。
小さなチームが自律的に運営している。
現場が意思決定をしている。

驚くべきは、従業員満足度も顧客満足度も圧倒的に高く、それでいて管理コストが業界平均の3分の1(わずか8%)に抑えられているという事実。

最初は「本当にそんなことが可能なのか」と半信半疑でした。

2022年頃からティール組織解説者である嘉村賢洲さんをはじめとする仲間たちと一緒に、文献を読み込み、何時間も対話を重ねながら、ビュートゾルフとティール組織についての学びを深めていきました。

(#9 場づくりのプロから日本・世界のコミュニティの事例を学ぶ)
(#10 ティール組織・ビュートゾルフのあり方から学ぶ組織の仕組み)

2025年の秋には、ついにオランダへの視察にも行きました。

そこで見たのは、
自分の仕事に誇りを持ち、自分の意思で判断し、生き生きと働いている人たちでした。

実際に現場で働く看護師たちの話を聞き、コーチという存在に会い、彼らが「なぜここで働くのか」を自分の言葉で語る姿を目の当たりにしました。

「信頼にステップはない。一人ひとりのあり方から始まる」という言葉を肌で感じ、私は「これこそがノーベルが進むべき道だ」と確信しました 。

全員に伝えた「自主経営組織への挑戦」

2026年4月、事業計画会議の場で、私はノーベルの全スタッフに向けて、正式に伝えました。

「ノーベルは、自主経営組織に挑戦します」と。

これは単なる制度変更ではありません。

これまでのように、本部が決め、承認し、現場に展開するカタチから現場が主体となり、支援を担っていく組織へと変化していくという宣言です。

「誰かが正しく管理する組織」から、「互いを信頼して成り立つ組織」へ。

具体的には、現場スタッフが子育て家庭のために何ができるか自分たちで考え、決め、動けるチームをつくっていきます。仲間づくりも、働き方も、支援のあり方も、チームで担っていく。

本部は管理をするのではなく、現場が安心してケアに集中できるよう「支える」役割へと変わっていきます。

そして、もう一つ大切なことを伝えました。

「自主経営は、自由になることではなく、責任を分かち合うことです」

1人で抱え込まない。
チームで支え合う。
不安なときには相談できる。

そのために、上下関係ではない「コーチ」という役割もつくります。

2026年度、ここからが本番。

2026年度は「準備の年」と位置づけています。

どこまで権限移譲をするのか、何があれば意思決定できるのか、どうやって対話し、合意をつくっていくのか。

それをスタッフと一緒に考えていく。
そのプロセス自体が、すでに自主経営の第一歩だと思っています。

具体的に以下のような変革を進めていきます:

1.現場への権限移譲: 事務局が決めていたルールや判断を、現場のチームが主体的に行えるように整理します。
2.管理職の役割転換: 「指示・管理」する上司ではなく、チームが円滑に動けるように支援する「コーチ」や、判断基準を整える役割へとシフトします 。
3.情報の透明化とIT整備: 全スタッフが同じ情報にアクセスし、自分で考えて動けるためのインフラを整えます。
4.評価制度の廃止: 上司が部下を採点する仕組みを廃止し、チームで目標を立て、振り返り、学び合える仕組みへと変えていきます 。

「子育てこそ、みんなで」を内側から。

ノーベルが日々向き合っているのは、正解のない、一人ひとり異なる家庭のリアルです。
だからこそ、現場のスタッフがその場で考え、「いいですよ、やりましょう」と言える柔軟さが必要だと思っています。

その力を引き出すのは、管理ではなく、信頼です。

スタッフ一人ひとりが「自分らしく」輝き、誇りを持てる組織。

その先にこそ、本当に家庭に寄り添う支援があると信じています。

正直に言えば、不安もあります。うまくいかないことも出てくるでしょう。
それでも、3年以上かけて学び、対話し、実際に見てきたからこそ、今ここに立っています。

私はノーベルのスタッフ1人ひとりの可能性を心から信じています。

そして、ノーベル全体で「子育てこそ、みんなで。」を実現する組織へ変化していきたいと思います。

ここからが、本当のスタートです。

▼BEFORE まるサポ開発の舞台裏⑦まるサポ・クリエイティブの全貌~想いを「カタチ」にする力。~

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