代表長谷亜希ノート

【まるサポ開発の舞台裏⑥】 双子新生児、進学、お片付け―他団体とのつながりが生んだ3つの変化

「まるサポ」の舞台裏をお伝えするシリーズも、今回で第6弾となりました。
これまでも「子育て家庭の困りごとは、100家庭あれば100通りある」ということを伝えてきました。
今回は、「ノーベルだけで解決しようとしない」という、ノーベルのVISIONにある「子育てこそ、みんなで」の舞台裏を、3つの具体的な事例と共にお伝えします。

事例①:創業以来、初めての双子新生児のケア。

まるサポのモニター家庭であった1件目は、まさに「未知」からのスタートでした。

そのご家庭は、まもなく双子が産まれるというタイミング。すでに4歳と6歳のお子さんがいらっしゃり、双子が産まれれば「未就学児4人」という、壮絶な育児環境になることが目に見えていました。

お母さんの切実な願いは、「産まれたばかりの双子をなんとかみてほしい。」というもの。

ノーベルは16年間、訪問型病児保育をやってきましたが、その対象は「生後6か月以上」です。新生児(0か月〜)のケアは、私たちがこれまで経験してきた保育とは、身体的なリスクも、配慮すべき点も全く異なります。

目の前のご家庭の危機を前に、どうにかできないか。社内で何度も話し合い、出た結論は「できないと言って終わるのではなく、どうやったらできるかを、専門家に教わろう」ということでした。

そこで私たちが頼ったのが、NPO法人マドレボニータさんです。

産後ケアのパイオニアである彼女たちに、新生児のケアや、産後のお母さんの心身の状態についてレクチャーを受けました。

メンバー全員でマドレさんの知見を学び、議事録を共有し、チームで共通認識を持ちました。
これまでの保育経験をベースに、新生児の授乳や寝かしつけのサポート、さらに4歳・6歳の上の子たちとの関わり、そして最小限の家事サポートまでを、一つのチームとして提供することができました。

自分たちがわからないことは、外部の専門知識を持っている人や法人に頼ることで、一つの家庭をサポートする。これこそ、まるサポだなと思いました。

事例②:ダウン症のお子さんの進学。家族の「納得」を作る第三者の力

次にご紹介するのは、お子さんの進学という、非常にデリケートで専門性の高い課題に向き合った事例です。

そのご家庭では、ダウン症のある次男さんの進学先について、ご夫婦で悩まれていました。日々の忙しさの中で、家族会議をする時間もなかなか持てず、漠然とした不安が募っている状態でした。

「まるサポ」のモニター家庭として、関わっていく中でその悩みをお聞きしましたが、障がい児支援や進路選択における制度、将来の自立に向けたステップについては、私たちの専門外です。

ここで連携したのは、大阪で20年以上にわたり障がい福祉や若者支援に取り組んでいるNPO法人み・らいず2さんです。

彼らは、障がいのあるお子さんのライフステージに合わせた支援のプロフェッショナルです。私たちはみ・らいず2さんの知見を借り、まずはご家族が「何を大切にしたいのか」を言語化する場を作りました。

まるサポが中心となり、専門家であるみ・らいず2さんの視点が入ることで、お父さんとお母さんが初めて「自分たちはこうしたいんだ」という想いを共有できたのです。

私たちだけでアドバイスをしようとしたら、きっとここまでの納得感は得られなかったでしょう。

「家族で改めて話す機会を、専門家を交えて作る」。

これこそが、日常に寄り添う「まるサポ」だからこそ繋げられた「連携の形」でした。

事例③:「片付け」の向こう側にある、家族の暮らし。

モニター期間中から現在に至るまで、驚くほど多くのご家庭から挙がる困りごとがあります。
それが「お片付け」です。

「足の踏み場がない」「ダイニングテーブルが常に物で埋まっていて食事ができない」「どこに何を収納すればいいか分からない」……。

これらは単なる「だらしなさ」の問題ではありません。育児に追われ、余裕をなくした結果、生活の基盤が崩れてしまっているサイン。

私たちスタッフも片付けのサポートはしますが、家族が自走できる仕組みを作るには、やはり体系的な知識が必要です。そこで私たちは、NPO法人Tadaima!さんから学ぶことに。

「ただいま!」と帰りたくなる家庭環境づくりを提唱する彼らから学んだのは、「家庭のタイプによって、適切な手法は全く違う」という事実です。

私たちは、「まるサポ」のアセスメントを通じて、そのご家庭の特徴や動線、こだわりを深く理解しています。その情報をベースに、Tadaima!さんの手法を組み合わせることで、変化を生み出すことができると考えました。

実際、あるご家庭では第三者の視点が入ってお片付けが進んだことで、お家が見違えるように綺麗になりました。

すると、お母さんからこんな言葉が出たのです。

「家が片付いて気持ちに余裕ができたから、次の子どもを考えたいと思えるようになりました」

片付けは、単に部屋を綺麗にすることではありません。

その先にある「どんな暮らしをしたいか」という希望を取り戻す作業なのだと、私たちも深く学ばされました。

様々な団体と繋がり、「子育てこそ、みんなで。」を体現する

この3つの事例を通じて私が伝えたいのは、「ノーベル、一団体でできることには限界がある」ということ。そして、だからこそ生まれる「仲間との連携」です。

子育て家庭が抱える課題は、医療、福祉、教育、住環境、そして心理的なケアまで多岐にわたります。それを一つのNPOがすべて解決しようとするのは、難しいこと。

「まるサポ」には子育て家庭のまるごとサポートという意味を込めています。
その家庭に入って、出会った困りごとはできる限り一緒に解決したい。

そのためには、地域や他のNPO、専門家と知見を分け合い、手を取り合うことが不可欠です。

一団体では難しい壁も、志を同じくする仲間と連携すれば、必ず乗り越えられる。

「100家庭100通り」の困りごとに、私たちはこれからも「チーム」で向き合い続けていきます。

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